クラウドは儲かるのか、儲からないのか――。米OracleのMark Hurd CEO(最高経営責任者)は2017年10月の投資家向け説明会で、クラウドは利益率でオンプレミスに劣るが、利益額ではオンプレミスを上回るという見解を示した。クラウド事業者の「損して得取る」戦略を、数字を基に紐解いてみよう。

 Oracleは2017年9月に発表した2017年6~8月期の四半期報告書(10-Q)で、同社の各ビジネスの収入と費用の詳細を明らかにしている()。そこからはクラウドの利益率がオンプレミスのビジネスに比べて大きく見劣りする現実が浮き彫りになる。

表●オラクルにおける各事業の粗利益率(単位は100万ドル)
収入費用粗利益率
SaaS106737465%
PaaS/IaaS40022743%
ソフトウエアのアップデートとサポート495125795%
ハードウエア94337360%
サービス86070218%

 ユーザー企業にとっては、オンプレミスにおけるソフトウエア保守ビジネスの利益率の高さに、まずは目を引かれることだろう。ソフトウエアライセンスの「アップグレード&サポート」に関する利益率は脅威の95%にも達する。ユーザー企業が保守料として欠かさず支払うお金のほとんどが、Oracleの利益になっているのだ。

PaaS/IaaSの利益率はハード事業を下回る

 一方でクラウドの利益率は、オンプレミスよりかなり低い。SaaS(Software as a Service)の利益率は65%で、ソフトウエアのアップグレード&サポートを30ポイントも下回る。PaaS(Platform as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)の利益率は43%であり、これもオンプレミスのハードウエアビジネスの利益率である60%を下回っている。

 クラウドの利益率がオンプレミスより低くなるのは当然のことだ。オンプレミスの場合、ソフトウエアやハードウエアを顧客に売ってしまえば、その後の費用はほとんど発生しない。それに対してクラウドサービスでは、システムの運用に膨大な費用がかかる。

 堅牢なデータセンターを確保する費用や、サーバーやネットワーク機器といったハードウエアの調達費用、ハードウエアを稼働したり冷却したりするための電気代、OSやミドルウエア、アプリケーションをインストールしたりアップデートしたりする人件費、データベースなどのバックアップ、ディザスタリカバリー(災害対策)用の待機系システムの構築費や維持費などなど挙げればきりが無い。こうした費用がクラウド事業者には重くのしかかる。

 しかしOracleのHurd CEOは(写真)、同社のビジネスが利益率の高いオンプレミスから利益率の低いクラウドへとシフトすることに伴い、同社の利益額はむしろ増えるのだと主張した。

写真●2017年10月の「Oracle OpenWorld」で講演する米OracleのMark Hurd CEO
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