ダイハツ工業は、3Dプリンターで砂の型を造り、その型で試作部品を作る取り組みを進めている。今回、砂の種類を変えたことや砂を酸で覆うことなどにより、従来のアルミ部品に加えて、鉄部品の試作も可能にした。エンジン部品などに利用範囲を広げる。

 ダイハツは2012年から約5年をかけて3Dプリンターによる砂型造型技術を開発した。型の素材として使用する砂の種類を、従来の天然珪砂(ケイシャ)の代わりに、熱膨張率が低い人工砂を使うことにした。これにより、造型過程の効率化による試作のリードタイムの短縮や、使用した砂のリサイクル性を向上させることを可能とした。

 鋳造用砂型に用いられる人工砂は、ボーキサイト(アルミナを主成分とする鉱石)を溶かして空中で落下させ、真球状に固まらせたセラミック粒子である。人工砂は開発当初は「エスパール」(山川産業)を使ってきたが、現在は伊藤忠セラテック製の「セラビーズX」を使用する。

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図 1.1/2スケールの砂型と鋳造品
3Dプリンターで1/2スケールで試作した、シリンダーヘッド(中)と3Dプリンターで造型した砂型(左)。シリンダーヘッドと砂型(右)。木型を製作して鋳造した場合には1ヵ月以上の期間を要するが、3Dプリンターを用いれば2時間弱で砂型が仕上がり、2~5日で製作が完了する。

 人工砂を造型に使用する際には必要な仕様に合わせて製品を選択するが、「自動車業界での砂型鋳造では天然珪砂と合わせてエスパールを使う例が多い。比熱が高く冷却効果をもつので、サイクルスパンを短くできる。セラビーズXは比重が小さく軽量なので清掃時の作業性が良く、使用する企業からの要望が多い」(ダイハツ生産技術部技術企画室主任係長の髙田和樹氏)とする。

 ダイハツが人工砂を選択したのは、天然珪砂と人工砂では熱膨張率が大きく異なるためだ。天然珪砂の熱膨張率が1000℃で約1.4%となるに比べ、人工砂は0.2%前後(製品によって変化)となる。鉄系材料の鋳造では型内での溶湯の溶融温度が1500℃度強に達するため、熱膨張率が小さい人工砂を使用すれば、型の割れなどを抑えられるので製品の寸法の再現性も高くなる。

図  人工砂を使って品質を高めた
1/2スケールで製作したシリンダーヘッド中子の鋳造品質を、シミュレーションなどによって確認した。天然珪砂を使用した場合に比べ、砂型寸法を始めとして、鋳造品寸法では公差が抑えられている。JIS規格の「JIS B 0403:1995」では鋳造品の寸法公差等級を「CT」(鋳造規格における全長に対する製品の公差によって定め、今回の製品はCT 7(砂型鋳造はCT 9 ~12、金型鋳造はCT 6~8など)。内部欠損における「ベーニング」とは、植物の“葉脈”の意で、砂の熱膨張によって型が割れて亀裂が生じてひびが入ると、溶けた金属が型に差し込んでその状況が残ってしまう。
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