経営共創基盤ものづくり戦略カンパニーマネジャーの野口宏太氏
[画像のクリックで拡大表示]

 自動車部品メーカーが勝ち残るためには、「フロントローディング」で取り扱う部品の企画・開発を進めなければならない——。「技術者塾」で「自動車部品メーカー反転攻勢への『脱下請け』戦略」の講座を持つ経営共創基盤ものづくり戦略カンパニーマネジャーの野口宏太氏はこう語る。フロントローディング成功の鍵を握るのは、経営者の意識改革と、会社全体の連携だ。(聞き手は高市清治、近岡 裕)

──自動車部品メーカーは今、自動車業界の中でどのようなポジションにあると言えるでしょうか。

野口氏:自動車部品メーカーの存在や発言力が増しています。ここ最近、その傾向は格段に大きくなっています。というのも自動車業界が今後、ワールドワイドで電動化や自動運転化を目指すという方向性が明らかだからです。特にトヨタ自動車が2017年12月に、世界で販売する車両の50%以上を「電動車両」にすると宣言したインパクトは大きいと思います。

 英国やフランスでは、2040年にエンジンだけを搭載した自動車(以下、エンジン車)の販売を禁止するという方針が発表されました。ここまで大胆ではなくても、二酸化炭素(CO2)排出量や窒素酸化物(NOx)の規制はますます厳しくなっており、エンジン車でどんな工夫を凝らしても、これらの規制をクリアすることはほぼ不可能です。

 電動車両や自動運転の性能は、部品性能の影響を大きく受けるので、自動車メーカーに対する自動車部品メーカーの発言力は今後、さらに高まるでしょう。

 ただし力を持つのは、ドイツRobert Bosch社やデンソーのような大手1次部品メーカー(ティア1)です。自動車メーカーは部品単体ではなく、トランスミッションやサスペンション、空調といったシステム単位で納入することを求めるようになっています。自動運転であれば、データを収集するセンサーと頭脳となるコントロールユニット、ブレーキやステアリングなどのアクチュエーターなどを組み合わせたもので納品する。こうしたシステムを製造するのが大手ティア1の役割です。

 こうなると自動車の主要部分を開発・生産していると言ってもよいでしょう。ティア1よりも元請けに近いという意味で、「ティア0.5」と呼ぶ向きがあるくらいです。自動車メーカーはティア0.5に、システムの設計などによる性能向上の提案を求めますから、ティア0.5の発言力は現時点でも強いですし、今後はさらに高まることでしょう。