戦後、日本の製造業は品質を重視する経営を推進し、高いグローバル競争力を実現して飛躍してきた。こうした日本の品質関連の取り組みを支えてきたのが「デミング賞」で知られる日本科学技術連盟(以下、日科技連)だ。日科技連では「顧客価値の創造活動と品質経営力のさらなる強化」をテーマに、「第105回 品質管理シンポジウム」(2017年11月30~12月2日)を開催する。日経テクノロジーオンラインは、同シンポジウムの開催に先立ち、登壇者のインタビュー記事を連載する。今回はコマツ代表取締役社長(兼)CEOの大橋徹二氏のインタビュー(下)をお届けする。(聞き手は吉田 勝、中山 力)

大橋徹二(おおはし・てつじ)
東京都出身。1977年コマツに入社。2001年真岡工場長、2004年コマツアメリカ社長兼COO。2007年に執行役員生産本部長兼e-KOMATSU管掌に就任。2012年、取締役専務執行役員。2013年から現職。写真:栗原克己

 コマツがいち早く、モノからコトへとシフトできたのはTQMのお陰じゃないでしょうか。TQMはひたすら愚直にやりますから。我々も決めたことを愚直にやるのが大事だと考えています。方向性についていろいろ議論をして、決めたらきちっとやる。決めた方針をどう展開するのかという方針展開の力は強いと思います。

ハードがあるからこそソリューションもある

 ただし、それだけでは、いいものは造れても、業界をリードし、新興国メーカーのずっと先を行く企業になるのは難しい。TQMは会社の基礎だと思っていますし、それは揺るぎませんが、それだけは足りない。

 従来の路線を踏襲していけば、今後5年や10年ぐらいはほとんどのユーザーに対応できるでしょう。でも、それだけでは生き残れない。もっと先を見なければなりません。そのために必要なのが顧客価値創造活動なのです。10年前から始めて、今年で11年目になりました。いつも世界の地域ごとにリードカスタマーと一緒に新しい価値を実現するにはどうすればいいかを考えています。

 そこにすごく学びがあるんです。その学びが大事なんです。得られた学びを基に、「その提案はそのお客さんだけじゃなくて、他のお客さんでもきっと必要だね。すぐに必要ならばすぐやろう」とか「いや、その提案については、お客さんにもまだばらつきがあるから、こういう企業向けに売ろう」といった議論になるわけです。サンプリングで出てきた課題を一生懸命議論し、それを全社に広げて、そこで出てきたいろんな知見やアイデアを横展開する、ということです。

 とはいえ、機械を持っていて、ユーザーがいて、そこと密接な関係を保てるからこそ、サービスなりソリューションを提供できる。やはり、ハードなくしてビジネスはないと思っています。顧客にダントツのサービスあるいはダントツのソリューションを提供するには、そうしたサービスやソリューションを実現できる機械がなくてはなりません。競争力のあるダントツのハードなくしてビジネスはないと私は思ってます。

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