ASEAN各国及びインドは近年自動車販売台数が急増しており、今後も増加が見込まれている。これらの地域における自動車技術の特許等の動向について調査を行ったところ、日本の完成車メーカーは、ASEAN各国の市場で力強さを発揮し、特許出願件数比率も全体の65%を占めていることがわかった。一方、インドでは、日本はASEANにおけるほど市場で優位な立場にはなく、欧州・米・インド国籍の特許出願も目立っており、欧米だけでなくインド企業の動向にも注意を払うべきであることがわかった。本稿では、上記以外の調査結果も多数紹介し、調査から判明した動向を踏まえ、今後の技術開発の方向性等に関する提言を紹介する。

 ASEAN各国及びインドは近年自動車販売台数が急増しており、且つ今後も増加が見込まれる有望市場です。当地において我が国企業は高いシェアを有していますが、2012 年以降、米欧中をはじめとする諸外国の企業が続々と参入しています。加えてAIFTA(ASEAN・インド自由貿易協定)の締結、2015年末のASEAN経済共同体(AEC)の発足等の環境変化が起きつつある状況下において、当地において我が国企業が今後も優位性を維持・拡大するため、適切な知財戦略を策定することが不可欠となっています。

 以上のような背景のもと、特許庁は「平成28年度特許出願技術動向調査」において、ASEAN各国及びインドにおける自動車技術に関する特許等の出願動向を調査し、当地の自動車市場において我が国企業が今後も競争力を維持するための展望を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)こちら)。この調査の主要部分を本稿で紹介します。

 調査では、図1に示す点線内の技術(注:自動二輪車・三輪車に関する特許出願に関しては原則調査対象外としたが、車種が特定されていない出願や、自動車等にも適用されることが記載されている出願については、調査の対象とした)を調査対象とし、自動車技術を「自動車種別」「製品化課題」「自動車の構造」の3つの観点で整理しました。

図1 ASEAN各国及びインドにおける自動車技術の技術俯瞰図
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