2016年11月11日に東芝の決算発表が行われ、大手電機メーカー8社の2016年度中間決算が出そろった。前年に比べて極端な円高が進行したこともあり、各社とも厳しい決算を余儀なくされた。ただし中長期的な視点で見ると、各社の見通しには大きな格差が感じられる。以下、各社の決算を順に見ていこう。

 2015年度、不正会計問題に揺れた東芝は、2016年度上期売上高が2兆5790億円と前年度比4.3%の減収となった。一方、営業利益は968億円と同1859億円の大幅増益である。

東芝の上期営業損益(決算資料を基にIHS Technologyが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 前年度はリテール&プリンティング部門の減損などで大幅な赤字を計上していたので、この増益幅を額面通り評価するわけにはいかない。他にはストレージ&デバイス部門の増益が大きく、これはHDD(ハードディスク装置)およびその他デバイスの事業構造改革が要因である。

 着目すべきは、メモリー事業が想定以上に好調であること。当初は需給バランスの悪化による大幅な減収減益が懸念されたが、フラッシュストレージの需要増などが追い風となり、501億円の営業利益(利益率12.4%)を確保した。

 通期計画は据え置いたが、フラッシュメモリー市場の供給不足は当面続くと予想されるため、会社計画を上振れる可能性は高い。フラッシュメモリー需要は今後も堅調に増えそうだが、気になるのは中国におけるメモリー工場の建設ラッシュ。中国は国家戦略の一環としてメモリー工場への設備投資を続けており、これらが立ち上がると2020年までにはフラッシュメモリーの供給過剰が起こり得る。東芝にとって、中長期的には最大の懸念事項だろう。

シャープは3年ぶりの通期営業黒字へ

 台湾Hon Hai(鴻海)グループ傘下に入ったシャープは、2016年度上期売上高が9197億円と、前年度比28.1%の減収。営業利益は同252億円の増益となり、わずか1億円ながら黒字化を達成した。

シャープの上期営業損益(決算資料を基にIHS Technologyが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 鴻海グループからの出資が完了したことで、同社の債務超過は解消しており、株主資本比率も15.3%まで回復した。通期の営業利益見通しは257億円と3年ぶりの黒字見込みだが、当期利益はまだ赤字に低迷するもよう。同社は成長軌道への転換施策として、有機ELパネルなど成長事業への投資、生産設備などキーテクノロジーの同社主導での強化、ブランドの強化、人材の強化を掲げている。鴻海傘下でのグローバル戦略が定着するかどうかが注目だ。

 上期の業績を部門別に見ると、IoT通信部門は国内スマートフォン市場の低迷で減収減益となった。健康・環境システム部門は、空気清浄機の売り上げが好調で減収ながら増益。ビジネスソリューション部門はカラー複合機の販売減で減収減益、電子デバイス部門から独立したカメラモジュール部門はスマートフォン向け需要の低迷でやはり減収減益である。

 ディスプレイデバイス部門は、ディスプレイ事業だけでなく、液晶テレビなどの情報家電を含んでおり、前年度比36.0%減の大幅減収。前期末に行った構造改革によって赤字幅は大きく縮小した。

ここからは会員の登録が必要です。