連載「品質の明日」では、2015年6月2~4日に開催された「第102回 品質管理シンポジウム」(日本科学技術連盟)の登壇者へのインタビューを連続して掲載しました。日経テクノロジーオンライン「ものづくり総合(旧設計・生産)」のアクセス記事ランキング(2016年5月2日~6月2日)で、第1、2、4、6、10位に入ったのが同シンポジウム登壇者のインタビューでした。

 その中でも第1、2位はソニー元幹部でアレックス代表取締役社長兼CEO、元米Google社日本法人社長の辻野晃一郎氏でした。辻野氏は、第1位になった記事(インタビュー前編)のタイトルにもある「日本の家電メーカーが凋落した理由」について、インターネットの登場で全てが変わってしまったのに日本企業が付いていけなかった、と説明しています。家電はテクノロジーの進化が速いため、耐久消費財ではなく古くなったら買い換える消耗品になっていたり、あるいは出荷後にソフトの更新で製品が進化したり、といった世界になりました。それなのに工場出荷時の品質だけを気にするのは、時代遅れといわれてなかなか反論するのは難しい、といった趣旨でした。

 第2位になった記事は辻野氏へのインタビューの後編。日本企業にいまだに欠けている点として、スピードの遅さ、自ら見聞きして動く経営トップ、優等生タイプで指示待ちになってしまう社員などを挙げています。一人ひとりがまずは素早く動くことが大事、と説いています。さらに、自分の意見をもっと主張、アピールして存在感を示さないといけない、とも。

 この文章(サイトマスター便り)を書いている筆者には難しいことばかりで、やはり日本人離れした人でないと世界では活躍できないのか、と思い始めたあたりでインタビューが予想しない方向へ展開します。その展開は実際にお読みいただければと思いますが、少しだけ引用すると「(日本人として)変えないほうがいい部分をしっかり見つめる」という話が出てきます。

 さらに、個人レベルで日本から海外に挑戦する人を支援して、「出る杭」を育てたいという意味のことも言っています。出る杭といえば、同じく元ソニーの横田宏信氏による連載「『出る杭』コンサルの眼」がランキング第7位に入りました。かなりの哲学的文章でやさしくはないのですが、よく読まれています。

 品質管理シンポジウム登壇者へのインタビュー担当者の1人であるY副編集長が、そういえば少し前にこんなことを言っていました。「ソニーについてはOBをはじめ、きびしく文句を言いつつもどこか応援しているような、いまだにソニーに愛情を持っている人たちがたくさんいる。しかしなぜか、シャープにはそういう人がさっぱり見当たらない」。その差は経営の巧拙というより、理想や精神の違いであるような気がします。