1カ月前の2016年7月18日、ソフトバンクが英ARM Holdings社を約240億ポンド(約3兆2300億円)で買収するというニュースが世界中を駆け回った。この買収額を最初に聞いたときは、正直信じられない思いがした。約240億ポンドという金額は2015年12月期の貸借対照表に記載されたARM社の純資産の10倍以上、2016年7月15日の株価終値にもとづく株価総額に43%のプレミアムを加算した金額である。ARM社の2015年12月期のフリーキャッシュフロー(営業活動キャッシュフローから投資活動キャッシュフローを差し引いた額)である1億8150万ポンドで、この240億ポンドを回収しようとすると、単純計算で130年以上かかることになる。

 果たして、240億ポンドという買収額は適正なのか。「何が何でも欲しい」というソフトバンクの孫正義社長の思いが先に立って、高づかみしている可能性はないのか。そう思ったのは、2016年2月に完了したAvago Technologies LimitedによるBroadcom Corporationの巨額買収が頭にあったからである。このときの買収額は半導体業界で史上最大の370億米ドル。存続会社はAvago社だが、新会社の名称は名門Broadcom社の名前を引き継いでBroadcom Limitedである。

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