現在、中国には1000社以上のプリント基板メーカーがひしめく。年間売上高が15億人民元(1人民元は約17円)を超える大企業もあれば、1000万人民元未満の中小企業もあり、競争力にも企業間で大きな差が見られる。中国のプリント基板産業の高成長は続き、台湾、日本、韓国のプリント基板メーカーの地位を脅かすほどの存在になるのか。それとも現在の成長は一時的で、第2グループの地位にとどまるのか。プリント基板の市場と、中国メーカーの競争力について分析する。

1. 中国プリント基板産業の地位

1.1 プリント基板メーカーの国・地域別シェア

 世界のプリント基板の売上高をメーカーの国・地域別で見ると、台湾メーカーの合計シェアが30.4%で世界一である(図1)。日本メーカーは20%前後の市場シェアを保っている。価格競争の激しい領域の市場からは撤退し、価格の高いニッチ市場に注力する傾向が強い。韓国メーカーの市場シェアは、2011年の20.2%から2016年の14%に落ちた。この2年間で、世界における韓国ブランドの携帯電話機の出荷量が急速に減少したためである。韓国メーカーのプリント基板のうち65%が通信市場向けであり、ほとんどは韓国ブランドの携帯電話機に提供されてきたため、影響をまともに受けた。

図1 2016年の世界のプリント基板市場シェア(メーカーの国・地域別)
台湾電路板協会(TPCA)の資料を基に、工業技術研究院IEKが作成(2017年7月)。
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 一方、中国メーカーは急速に世界市場シェアを拡大し、2016年は16%にも達した。すさまじい勢いで低価格帯のプリント基板市場に参入している。また、中国国内の通信基地局、セキュリティー分野、産業機器、自動車モジュールなどにおけるプリント基板のニーズの高まりにより、売上高を毎年拡大してきた。

 2011年から2015年までの国・地域別の売上高の複合年平均成長率を見ると、中国は1.2%となり、台湾の0.9%、日本の0.1%、韓国の-2.7%を上回る。また、中国の売上高を1としたときの台湾、日本、韓国の売上高比率を見ると、それぞれ2011年の2.05、1.64、1.44から、2015年の2.02、1.56、1.19に縮小している。これらのデータから、中国プリント基板メーカーの売上高は、第1グループの台湾、日本、韓国に迫っていることが分かる。

1.2 生産地の国・地域別シェア

 図2に、生産地別のプリント基板の売上高を示す。「世界の工場」と言われてきた中国は、プリント基板においても世界最大の生産地域となっている。2016年のプリント基板の世界売上高は合計600億米ドルだが、このうち48.2%は中国で生産されたものである。

図2 2016年の世界のプリント基板市場シェア(生産地域別)
各種資料を整理して工業技術研究院IEKが作成(2017年7月)。
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 中国メーカー以外に、台湾メーカーや日本メーカーも中国生産をしている。特に台湾メーカーは、中国工場による生産が60%にも達しており、中国で生産されたプリント基板の売上高全体の41.6%を、台湾メーカーの製品が占めている。また、中国で生産されたプリント基板のうち、日本メーカー製品が占める比率(売上高ベース)は13.3%である。日本メーカーも海外生産戦略を取っており、中国に製造ラインを数多く立ち上げている。世界最大のプリント基板メーカーであるメクトロンが中国で設立した珠海紫翔電子科技(メクッテク珠海)は、その代表例である。

 なお、中国で生産されたプリント基板のうち、中国メーカー製品が占める比率(売上高ベース)は28.6%である。台湾、日本、中国のほか、米国、欧州、その他の国・地域のプリント基板メーカーも中国で生産している。このように、現在の中国は世界最大のプリント基板の生産地ではあるが、中国の製造ラインの多くは中国以外の国・地域のメーカーのものである。

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