虚血性心疾患――。日本では比較的患者数が少ないため、聞きなれないかもしれないが、世界的には最も多くの命を奪っている病気である。WHO(World Health Organization、世界保健機関)によれば、2015年の虚血性心疾患による死亡者は、867万人。2位の脳卒中の624万人を大きく引き離す。

 虚血性心疾患は、心筋に血液を送る冠動脈が詰まったり、細くなったりして、心筋に十分な血液が届かずに発生する病気である。薬で悪化を遅らせることは可能だが、回復は難しいとされる。根本的な治療法は心臓移植だ。

 この虚血性心疾患に対して、機能回復を可能とする新たな治療法を開発しているのがメトセラである。治療法自体は単純。心筋の成長を促進する「VCAM-1」と呼ぶタンパク質を発現する線維芽細胞「VCF(VCAM-1 Positive Cardiac Fibroblast)」をカテーテルを使って心組織に直接注入するというものだ。注入に使うVCFは、体内の臓器から抽出した細胞から選別し、培養することで得る。心臓移植などと比べて、大規模な手術を必要としないため、手術の危険性やコストが低い。iPS細胞で心筋細胞を作る方法もあるが、メトセラの手法は、既にある細胞を選別して培養するため、低コストだ。

†J-TECH STARUP銘柄を表彰する「第2回 J-TECH STARTUP SUMMIT」が東京・霞ヶ関で2月1日、13時~開催されます。ここでメトセラの代表者も講演します(詳細はこちら)。

 現在、ラットで実証実験中。2018年中には豚を使って安全性や生体に与える影響などを評価する計画である。2020年には臨床試験に進めたいとする。また、本人から採取したVCFだけでなく、他者や他の生物由来のVCFも効果がある可能性が実験によって示されていることから、今後、他者や他種由来のVCFを導入するより低コストのVCF治療法も研究する。

■会社概要■
会社名:株式会社メトセラ
所在地:山形県鶴岡市
代表者:代表取締役 岩宮貴紘/野上健一
設立:2016年3月