プログラム内蔵方式は巨大なイノベーション

 この連載の前回(第5回)にトランジスタを採り上げた。トランジスタは1940年代の後半に、米国ニュージャージー州マレーヒルのベル研究所で開発される。同じころ、そこからほど遠からぬペンシルベニア州フィラデルフィアのペンシルベニア大学では、プログラム内蔵方式の概念形成が進行していた。

 20世紀の前半が終わろうとするころ、半導体トランジスタとプログラム内蔵方式コンピューターが、ほぼ同時に産声を上げる。両者の誕生が同時だったこと、これは運命的である。両者の相性はすこぶる良く、互いに刺激し合い、支え合いながら、共に発展する。

 約4半世紀後の1970年代初頭、両者はマイクロプロセッサーという名の子を生む。マイクロプロセッサーとは、半導体の小片(チップ)の上に載ったプログラム内蔵方式コンピューターである(本連載第3回参照)。

 プログラム内蔵方式の産業的インパクトは大きい。スーパーコンピューターからパーソナルコンピューターまで、大小様々なコンピューターという大製品群をもたらしたことは言うまでもない。メモリーやディスプレー、さらにはプリンターなどの周辺機器まで含めれば、プログラム内蔵方式コンピューターは、それ自体が大産業を形成している。

 しかしそれだけではない。コンピューターとは意識されていない種々の機器の内部で、プログラム内蔵方式の情報処理が行われている。ここで大きな役割を果たしているのがマイクロプロセッサーである。電話やテレビなどの伝統的電子製品、炊飯器や洗濯機などの家庭電気製品、自動車を代表とする輸送機械、工場で使われる多種多様な製造装置、さらには機械をつくる工作機械など、あらゆる機器・システムの内部に、いまではマイクロプロセッサーが組み込まれ、そこではプログラム内蔵方式の情報処理が行われている。

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