イラスト:ニシハラダイタロウ
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 「寄らば大樹の陰」とはよく言ったものだ。大樹になりたいが自分はなれない。でも、せめて大樹の陰にいれば何とかなる……と、多くの人は考えたのである。

 確かに、大樹のような大きくて強そうな者(会社)の陰にいて強風や豪雨を避けるのも一つの戦略・選択肢ではある。だが、最初から大樹に世話になるのは何か寂しい。昔は、学生が「末は博士か大臣か」と、志を立てた時代があった。しかし、どうもこの頃は「寄らば大樹の陰」と言ってはばからない若者が増えたような気がしてならないのである。

 そんなことを言うおまえ、これまで大樹に寄ることはなかったのかと聞かれたら、キッパリ「ない」とは言えないが(笑)、大筋では、いつかは大樹になりたいと考えてきた。

 ある場で、就活生の話になった。何でも、志望する会社に提出するエントリーシートの書き方が重要で、それで面接できるかできないかが決まり、その上で内定が出るか出ないかが決まるという。そのために最近は、エントリーシートの書き方を教える塾が存在し、うまく書けるように教えてくれるというのである。そして、うまく面接にまでこぎ着けたら、面接官はそのエントリーシートに基づいた質問をするだろうという予測を基に、質問の内容と答え方までを教授するというのだから、何とも至れり尽くせり。そんな時代になったというのである。

 しかし、それでいいのだろうか。エントリーシートの書き方が上手になり、それが効いて入社できたとして、本当にそれでいいのだろうか。

 私が言いたいのは、エントリーシートの書き方よりも、会社を選ぶときに自分はその会社でどのような仕事をしたいのか、その志望を明らかにするのが原理・原則であるということである。