2018年1月上旬のCESに参加し、最新技術に触れてきた

 横浜発祥の英語の教育法「5ラウンド方式」を取り上げた前回に引き続き、今回も教育の話題に触れたい。本連載のテーマである基礎自治体の活動において、教育を推進する施策の中心は公立学校の運営である。本稿では、公立学校を通じた人材の育成、特に理数系の人材を育てる方法について考えていく。

 その具体例として紹介するのが、「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校」だ。高い理想を掲げて2009年4月に発足した同校は、現在までに当初の目標をほぼ達成できたと言えそうだ。2017年春には附属中学校も立ち上がり、横浜市内では2校目となる公立中高一貫校となるなど、さらなる発展も見えている。本稿では、着実な成果の背後にある現実との折り合いのつけ方や、公立であるがゆえの難しさ、今後の課題などを検証していきたい。

理数系人材の養成に破格の予算

 「卒業生の1/3を現役で国公立大学に合格させます」。今からさかのぼること9年前、横浜では神奈川県内初となる理数科の高等学校・横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校の開校が目前に迫っていた。その初代校長に就任することになる佐藤春夫氏(開発準備室長・当時)は横浜市内各地で開催される学校説明で、保護者や塾関係者にプレゼンをして回っていた。

 同氏の言葉を、保護者や塾関係者はにわかには信じられなかった。横浜サイエンスフロンティア高校は制度上は新設だが、その前身は横浜市立鶴見工業高等学校。社会のニーズに釣り合わなくなった工業高校の立て直しが、プロジェクトの主眼だったからだ1)

 一見、大言壮語にも受け取られかねない言葉を佐藤氏が口にしていたのにはワケがある。サイエンスフロンティア高校は横浜港開港150年の節目に開校することもあって、横浜市のビッグプロジェクトに位置付けられていたからだ。同校につぎ込まれた予算は95億円。一つの学校につぎ込まれる予算としては、破格の金額だった。「1つの学校にそこまで予算をつぎ込むのか」という批判があったのも確かだが、当時の市長の中田氏の後押しもあって、横浜市は「先端科学の知識と知恵を活用し、世界で幅広く活躍する人材を育成する」という旗を掲げて、開校準備に邁進していた。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)登録で6月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら