2012年の秋ごろだった。親しくしていた自民党の議員とお酒を飲んだ席で、こんなことを言われた。「横浜でオープンデータは絶対に実現しませんよ。議会において弱小政党である、みんなの党(当時、第4会派)がオープンデータに取り組む限り、私たちは全力で潰しますから」。わかりやすく言えば、「弱小政党が目新しい政策を主張したって誰も見向きもしないし、仮に取り組むべきテーマだったとしても、弱小政党に言われて始めるわけにはいかない」という意味だったと思う。「あぁ、そういうものなのか」と思いつつも、「オープンデータの取り組みは世界的な潮流だし、議会の中のそういうプライドで止められるようなものではないと思うけどなぁ」と切り返したのを、今でもはっきりと覚えている。

 この件は、2013年に書いた自身のブログ「オープンデータはキャズムを超えるか?」でも、議会の1つの体質を表す逸話として紹介した。オープンデータは、そんな議会の思惑をあっさりと越えていく、時代を画す流れであることを強調したかったからだ。今から振り返れば、実際その通りになった。会派を横断した取り組みの結果、今や横浜市はオープンデータの推進では全国でトップを競う基礎自治体として知られている。

後述するGLOCOMの研究員とともに、オープンデータやフューチャーセンターに関してオランダとコペンハーゲンを視察したときの写真。右から2番目が筆者

 今回はその黎明期の舞台裏と、私がオープンデータにどうしてそこまで熱心なのかをお話ししたい。かいつまんで言えば、現場をもつ基礎自治体こそデータに基づいた科学的な政策判断を行うことで政治にイノベーションを起こすことができる、市民の生活から遊離していると思われている日本の政治を国からではなく地方から変えられる、その大きなトリガーになるのがオープンデータにあると考えている。

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