高収益化支援家、弁理士 中村大介
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 すっかり冬になりましたね。今日も寒いです。私は京都に住んでいるのですが、仕事は、全国津々浦々でしています。「京都から来ました」と言うとよく聞かれることがあります。「京都って、夏暑くて、冬寒いんでしょ?」という質問です。

 確かに東京に比べると、夏は暑く、冬は寒いような気はします。でも、正直言って「住めば都」だと思います。どこであろうと、住んでいると地域の寒さや暑さは慣れてしまうもののようです。私は寒がりなので、冬は床暖房にファンヒーターをガンガンつけて暮らしています(エコではありません。読者の皆さんは真似しないで下さい)。おかげさまで、我が家の冬は快適です。

 京都に住んでいるということもあり、関西で仕事もしています。先般はJIPA(ジパ)、いわゆる「知財協」の関西支部で講演をする機会がありました。知財協とは、知財部門の担当者の研修や政策提言などの活動をする団体です。

 講演に講師として呼んでいただいたため、「皆様にお役に立つ内容を」と思って講演のタイトルを考えました。そして、今回のコラムのタイトルと同じタイトルを思いつきました。

 そう、「知財力が低いのではない、技術力が低いのだ!」というタイトルです。このタイトル、正直に言って私の本心をありのままに述べたものです。講演の前後に主催者の方に伺うと、「タイトルにインパクトがあって受講者がいつもより多い」とのことでした。講演も「面白かった」と言っていただき、講師としては一安心でした。

 このコラムで自慢をしたいわけではありません。私が常々当たり前だと思っていたことが、意外と関心が高かったことを説明したいのです。というのも、知財の悩みは、知財そのものというよりも、知財の源流にある研究開発テーマの設定に問題があるからです。

技術力と知財力は表裏一体

 私は技術力と知財力は表裏一体だと思っています。表裏一体というのは要するにバランスの取れた発展が必要だということ。発明が大したものでなければ、良い特許は取れませんよね? 逆に、すごく良い発明なのに、明細書が下手だとそれが伝わりにくい。もったいと思いませんか。

 講演会の聴衆は知財の担当者。知財部門はなんとか知財力を高めようと必死なのです。知財力を高めるためのいろいろな策を実施しています。私の見立てですが、知財で努力している会社は多く、良い発明さえ出てくれば権利化して活用する土壌は整っていると言ってもよいでしょう。

 そのため、「知財力が低いのではない」と言い切りました。そして、(実は)「技術力が低いのだ」という当たり前のことを言ったわけです。そして、技術力が低いというのは、要するに研究開発テーマの設定が良くないのです。

 テーマ設定とは、研究開発の題材のこと。お客様の要望を聞いたり、事業部の要望を叶えるテーマ設定をしたりしていても、売り上げは立つかもしれませんが、良い知財が取れず価格主導権が握れないため、収益は上がりません。

 このコラムでも何度も書いている通り、収益は独自性の果実です。「技術力が低い」とは、独自性の高い技術を作ろうとする活動がないという意味なのです。独自性が高いということは、差異化になるというだけではなく、知財も取りやすいということです。差異化になって知財も取れれば一石二鳥ではないですか。知財によって、事業も長生きするというものです。

 言ってみれば「簡潔明瞭」なことなのです。とはいえ、「技術力が低い」とは知財部門から技術部門に対して口が裂けても言えない。そのため、知財部門に代わって言ってあげる形になる上記講演会は好評を博したのだと拝察しています(手前味噌ですみません)。