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伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役、サイバー大学客員講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 2017年は日本のいろいろな所でIoT(Internet of Things)という言葉が飛び交いました。私は実際にさまざまな企業を見て、日本の企業は「IoT」という言葉を難しく捉えすぎなのではないかと感じています。一言で簡単に説明するならば、IoTとは「センサーと無線を使ってデータを蓄積する」ことです。

旭鉄工の事例が注目される理由

 今年(2017年)、国内におけるIoTの事例としてよく取り上げられたのは、自動車部品を手掛ける旭鉄工(本社愛知県碧南市)のIoT導入事例です。手作りのデバイスを使って最低限のコストでIoTを導入することで、ムダの排除と生産性の向上を実現した理想的な事例と言えます(関連記事)。

 実は、この事例には表面上は見えないたくさんの学ぶべきポイントが存在します。

身の丈IoTは可能なのか

 多くの人は、素人がデバイスを開発するなんて無理だと思うかもしれません。旭鉄工の事例では、「リードスイッチと呼ばれる磁石を利用したセンサーを、制御ボード『Arduino』と接続して、工作機械などの扉の開閉時間を記録した」とあります。同じことを実施しようと考えると、まずリードスイッチの価格は300円ほどで、Arduinoは3800円程度です。つまり、5000円もあれば十分に機械のイベントを検知することが可能です。

 本来であれば工場の機械そのものがあらゆるデータを取得し、それをデータベースに送信してくれればベストです。しかし、昭和の機械はそうした機能がないことが多く、また機械の動作だけではなく、工場内におけるものの移動などをイベントとして検知したい場合もあります。そのため、1つのイベントを取るためのコストを1万円以下に抑えられるのであれば、中小企業でもさまざまな所にセンサーデバイスを設置することができます。そうすることで日々の工場内の動きを簡単に把握することができるのです。

 データが蓄積されれば、第一歩として、データを元にどの工程でムダが発生しているのかを、表計算でも使って把握すればよいのです。自力で実施することが技術的に難しいのであれば、自治体などの支援制度を使って専門家に相談することもできます。ここには、できない理由など何も存在しません。