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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

世界1800万人が視聴 アマゾン、NFL配信の「通信簿」

2018/02/05 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 ネット大手の米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)社は、米プロアメリカンフットボールNFLが2017年シーズンに行ったライブストリーミングの結果を発表した。

 アマゾン社は毎週木曜夜に開催されるサーズデーナイトフットボール(TNF)10試合と、2017年12月25日に開催されたクリスマス・ゲームの1試合、計11試合について、有料会員サービス「Amazon Prime(アマゾンプライム)」の会員向けに無料ライブストリーミング権を獲得、配信していた。

NFLの試合の様子(写真:NFL)
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平均視聴時間は63分

 アマゾン・プライム・ビデオ上で配信されたNFL中継を少なくとも30秒以上見た毎分平均視聴者数は31万人以上に達したという。これは2016年に、やはりTNF10試合を配信したSNS大手の米ツイッター(Twitter)社が発表した実績である26万5800人よりも17%増となった。

 ただ、両社のデータ測定法に違いがあるため、単純比較は難しいという指摘もある。またツイッター社はこのライブストリーミングを、フォローしていれば自動表示されるようになっていたのに対し、アマゾンではプライムビデオ内でコンテンツを検索し、「プレー」をクリックしなければならないなど、視聴環境にも差異があった。アマゾン社はツイッターの5倍となる5000万ドルを支払い、独占配信権を獲得したとされる。

 平均視聴時間は63分だった。NFLの平均試合時間は3時間8分ほどなので、その約1/3に当たる。最も同時視聴者数が多かった試合は2017年12月7日のアトランタ・ファルコンズ対ニューオリンズ・セインツの1戦で、200万人を記録したという。この試合は最後の2分間まで勝負がつかない接戦だったため、終了間際に視聴者が増えたと見られる。

Amazon.com社はサーズデーナイトフットボール(TNF)を「Amazon Prime(アマゾンプライム)」の会員向けに無料でライブストリーミングしている(図:Amazon.com社)
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 アマゾン社が得た配信権は全世界向けということも、今回の発表で強調されていた点だ。同社は224の国と地域で1840万人のプライム会員が視聴し、合計で7億5000万分を超える視聴時間があったとしている。米国内の州別視聴者数ではカリフォルニア州が最も多く、テキサス州、ニューヨーク州と続く。

 一方、米国以外ではメキシコがトップで、ドイツ、韓国という順だった。日本は6位に留まっている。最も配信時間が多かったのはドイツ、平均視聴時間が長かったのはチャド、コートジボアール、スワジランドといったアフリカ諸国がトップ3を独占するという興味深い結果となった。これらの国では深夜から早朝の配信になる点や娯楽環境、文化的興味など注目点は多そうだ。

バーベキューグッズを買う傾向

 アマゾン社ならではというデータもある。本業のネット通販との相関だ。配信権の獲得もプライム会員の獲得とともに、ネット通販の拡大にもつなげようという目的があったとされている。配信期間中、アマゾンで購入されたNFL関連商品で多かったチーム上位3位はダラス・カウボーイズ、ピッツバーグ・スティーラーズ、ニューイングランド・ペイトリオッツという人気チームとなっており、そこに驚きはない。

 対して、NFLの配信を見たプライム会員はその他の会員よりもクロックポットと呼ばれる保温調理鍋を「欲しい物リスト」に入れる確率が41%も高かったという。これは「テールゲーティング」と呼ばれる生観戦前に駐車場でバーベキューをしたり、パーティフードを食べながらテレビ観戦する習慣によるものだと見られている。

 カテゴリー別でチームグッズのトップセール商品も発表され、フットウェアではダラス・カウボーイズのチームロゴ入りモカシン・スリッパが、シャツではピッツバーグ・スティーラーズの男性向け長袖クルーネック・フリースTシャツの黒Lサイズ、パンツではオークランド・レイダースの男性向けフリース・スエットパンツの黒Lサイズがトップだっという。

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