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ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 あけましておめでとうございます。昨年(2017年)はものづくりといえば、まず不祥事が思い浮かび、暗いイメージが先行した。だが、本来ものづくりは明るく、前向きな世界のはずだ。どんどん新しい技術を開発し、魅力的な製品を世に送り出して、お客様の笑顔を実現する。やりがいのたくさん詰まった仕事である。今年初めてのコラムでもあり、景気の良い話題を提供したい。技術がどんどん進化し、飛躍的に成長した製品の事例だ。電子制御燃料噴射システムのことである。

 電子制御燃料噴射システムは、燃料噴射制御や点火時期制御など複数の制御を集中的にコントロールし、エンジンを最適な状態で運転させている。この中で、点火時期制御は、第1世代から第4世代まで技術的なブレイクスルーがあった。製品が飛躍的に進化して成長サイクルに乗った、自動車部品の中でも希有な事例だ。

 第1世代のシステムは、点火プラグへ高電圧を供給するために、エンジンの回転タイミングに応じて高電圧を発生させるイグナイターと、この装置で発生させた高電圧を各気筒へ分配するディストリビューターから構成されていた。オールメカ式だった。

 イグナイターは誘導コイルと接点で出来ていた。エンジンのカムの位置で接点を開閉し、この接点の開閉でイグナイターの1次側コイルへの電流を断続する。それに応じて2次側のコイルに高電圧が誘導される仕組みだった。ディストリビューターは、高電圧を各気筒にある点火プラグに送り込む。当初はイグナイターの接点とディストリビューターの各気筒への切り替えスイッチは全てメカ接点方式だった。このメカ接点が抱える課題の克服を目指し、第4世代まで進化を遂げたのである。

 第1世代のメカ接点が抱えていた課題の1つは、イグナイターの1次コイルに流れる比較的大きな電流を、接点でON/OFFすることにあった。コイル電流をOFFしたときに大きなエネルギーが接点に加わって火花が出る。この火花が原因で、長く使用していると接点が酸化したり、損傷したりした。そのため、当時はエンジンがかからないと、まずは接点を確かめたものだ。