ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 今年(2018年)も新聞各社が力を入れる元旦の各紙に目を通しました。これまではグローバル化に関する記事が多くを占めていたのに対し、今年はグローバル化の「弊害」と、地政学的リスクであるテロの脅威と地域紛争勃発の記事が多かったと思います。ものづくりにおいては、こうしたコントロールできない外乱要因が多くなっているものの、努力と創意工夫により今年度は過去最高益を超える上場企業が多く見込まれるだけでなく、報道以上に中小企業の景気も良いことを感じます。

 元旦の日本経済新聞に興味深い記事がありました。「明治150年(明治元年から150年)維新再び」の中の一節を紹介すると、「黒船を率いて来航し、日本に開港を迫った米国のペリー提督は東洋の島国について予言を残した。『ひとたび文明世界の過去および現代の知識を習得したならば、日本人は将来の機械技術上の成功をめざす競争において、強力な相手になるだろう(ペリー提督日本遠征記)』。ペリーは職人の完璧な手工技術に驚嘆し、他国に学ぼうとする日本人の好奇心にも目を向けた。幕府を震え上がらせた砲艦外交の裏側で日本の未来を見事に見通していた。」このペルーの先見性に驚かされますし、わたしたちの先輩方は見事にこの予言を実現させました。

 一方、ものづくりは変遷を続けており、アナログからデジタルへ、大量生産から多品種少量生産へ、さらに個々のニーズに合わせた対応が求められるようになりました。また2008年をピークに人口が減少することで、顧客である消費者が減ると同時に、働き手も減る時代に入りました。求人しても面接どころか申し込みすらない状態は深刻です。そのため1人当たりの生産性を高めることは業界を問わず最優先のテーマになってきます。

 また昨今の品質問題において、いくつかの大手企業による「顧客に嘘をつく」という不正問題が明らかになると、「日本のものづくりに疑問符」的なコメントが多くの記事にあふれました。しかし会社規模に関わらず絶対的多数のものづくり企業は「真摯なものづくり」を行っています。そこで、こうした不正問題を他人事と考えず、「他山の石」として再度自社を見つめ直すことは大事ですが、ものづくり業界に対する優劣の問題と捉える必要はありません。

 私たちはいつの時代でも常にさまざまな問題に直面しているわけですが、先の150年前にペルーが指摘した日本人の勤勉さと器用さ、そして柔軟性を強く誇りに思いながら、これからもコツコツと真摯に取り組んでいきたいものです。