1. はじめに

 「第5回 関西高機能素材Week 2017」がインテックス大阪で9月20日から22日まで開催された。本コラムでは、関西高機能素材Week 2017で筆者が注目した技術などを紹介する。今回は、三井化学 代表取締役専務執行役員の諫山滋氏の基調講演「社会ニーズに応える三井化学の高機能プラスチック開発」から、環状オレフィン系樹脂「アペル」とチオウレタン系メガネレンズ「MRシリーズ」を取り上げる。

2. 環状オレフィン系樹脂「アペル」

2.1 環状オレフィン系樹脂の特性

 環状オレフィン系樹脂は光学物性バランスに優れた非晶性透明樹脂であり、耐熱性にも優れる。光学部品の小型・軽量化、高性能化、および低コスト化のニーズの広がりに伴い、急速に注目を集めている。光学樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)などがよく知られている。しかし、これらの樹脂はいずれも極性の置換基を持つため、吸水率が高く、環境変化による物性変化が大きい。さらに、PMMAは屈折率が低い、PCは複屈折が大きいなどの問題点がある。

 ポリオレフィンに環状オレフィン構造を導入することにより、これらの欠点の解消を図ったのが、環状オレフィン系樹脂である。その1つである「アペル」は、三井化学が開発した環状オレフィン共重合体(COC)である。この樹脂は他に類を見ない高屈折率・低複屈折性を示すことから、同種の樹脂の中でも光学材料として優位性を持っている。

 表1に、光学用樹脂の特性比較を示す。三井化学の環状オレフィン系樹脂(アペル)の低屈折、高屈折率、透明性といった特徴は、剛直な主鎖と嵩高い側鎖を併せ持った分子構造に由来するものである。剛直な主鎖は高密度であることから、高屈折率を発現する。かさの高い側鎖は非晶性であるため、透明性が得られる。分子自体は異方性が小さいため、低複屈折となる。図1に、高屈折率と低複屈折について示す。COPやPMMAに比べ両特性ともに優れていることが分かる。

表1 光学用樹脂の特性比較
(三井化学の資料)
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図1 アペルの高屈折性と低複屈折
(三井化学の資料)
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