1. はじめに

 「新物質/量子構造に基づく発光デバイス研究の最前線と展望」と題したシンポジウムが、「第78回 応用物理学会 秋季学術講演会」(2017年9月5~8日、福岡)で開催された。同シンポジウムで「GaNナノコラム発光デバイス」と題した上智大学 ナノテク研究センター 教授の岸野克巳氏の講演を取り上げる。

2. GaNナノコラムとLED

 2014年のノーベル物理学賞で脚光を浴びた窒化物半導体(InGaN系)のLEDは、緑、さらに赤色域になるに従って発光効率が減少し、赤色域のInGaN LEDは暗くてよく光らない。半導体レーザーの動作電流も急増し、InGaN系可視発光デバイスの発光域拡大は、材料としての“限界”に直面している。

 このInGaN系可視域デバイスの課題解決に挑戦すべく、最近、ナノコラムの研究が世界的に活発になっている。窒化物半導体ナノコラムは、直径数十nmから数百nmの1次元GaNナノ結晶である。ナノコラムで発現されるナノ結晶効果が、課題解決の突破口として期待を集めている。

図1 (a)緑色ナノコラムLED概念図と(b)電子顕微鏡像
(上智大学の資料)
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 GaNナノコラムを初めて作製したのが、今回の発表者の岸野氏らである。分子線エピタキシー(MBE)注1) による結晶成長中の自己形成過程で作られた。自然発生のためコラムの径と位置がランダムに揺らいでおり、ナノデバイスとしての制御性が不十分だった。そこで岸野氏らはTiマスクを用いて、当時難しかったMBEによる選択成長法を新たに開発し、均一なナノコラム結晶の規則配列化を実現した(図1)。

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