1. はじめに

 印刷プロセスで製造可能な大型フレキシブルディスプレーの実現に向けた、塗布型有機TFTの研究開発が盛んになっている。有機TFTは半導体材料だけでなく、すべての構成材料が塗布可能な「オール印刷」が望ましい。大阪府立大学は、ゲート絶縁膜に塗布型材料「CYTOP」を用いた有機TFTを試作し、特性を評価した。その結果を、「第78回 応用物理学会 秋季学術講演会」(2017年9月5~8日、福岡)で発表した。

 CYTOPは、トップゲート構造の有機電界効果トランジスタ(有機FET、OFETとも呼ばれる)のゲート絶縁膜に用いられる含フッ素ポリマーである。末端基の化学構造を変えた種々のCYTOPが開発されている。大阪府立大学は、CYTOPの末端基の化学構造とOFETとしての電気特性の関係を調べるため、種々のCYTOPをゲート絶縁層として用いたOFETを作製し、その電気特性と局在準位分布の評価をした。

2. 実験

2.1 OFETとゲート絶縁層

 ゲート絶縁層はOFETにおいて、有機半導体と同様に重要な構成要素である(図1)。古くから用いられている材料として、パリレン(Parylene)やPVAがある。しかし、パリレンは塗布できず、PVAはトラップが多く塗布成膜時に下層にダメージを与えるという課題があった。これに対してフッ素系ポリマーのCYTOPは、トラップが少なく、塗布成膜時に下層へのダメージ少ない。しかも、同じフッ素系のテフロンと比べても、アモルファスであるために均一性が高い薄膜を形成できるという利点がある。

図1 有機FETの構造とゲート絶縁膜(大阪府立大学の資料)
図2 研究に用いたCYTOPゲート絶縁膜(大阪府立大学の資料)

 ゲート絶縁層には、図2に示す末端基の異なる3種のCYTOP(CTL-M:-CONH-C3H6-Si(C2H5)3, CTL-E:-COOCH3, CTL-A:-COOH)を用い、有機半導体層には 2,7-Dioctyl[1]benzothieno [3,2-b][1]benzothiophene (C8-BTBT)、C60-fused N-Methylpyrrolidine-m-C12-phenyl (C60MC12) をそれぞれ用いて、p型とn型のOFETを作製した。素子構造はトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)構造とし、n型OFETでは注入障壁低減のためCs2CO3をコンタクト電極上に塗布成膜した。

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