レジストにパターンを露光してエッチングするという工程を経ずに,マスクの上から蒸着するだけで直接パターンを形成する方法もある。

 普通,蒸着やスパッタリングで作った膜は,後でエッチングによってパターニングする。しかし,マスク蒸着やリフトオフという手法を使えば,エッチング・プロセスなしで直接,パターンを形成することができる(図1)。

図1 マスク蒸着とリフトオフ
図1 マスク蒸着とリフトオフ

 マスク蒸着は,ステンシル・マスクという穴の開いた金属の板を通して蒸着することにより,基板上に直接,パターンを作る。MEMSの場合,一番最後の工程で電極を付けようとしたとき,基板の表面が立体的に加工されているとフォトリソグラフィがしにくい。このような場合,ステンシル・マスクで電極パターンを付けて終わりにできれば非常に便利である。

 リフトオフは,レジストで作ったパターンに金属を蒸着して,後でレジストを取り去ると,レジストがなかった部分にだけ金属のパターンが残るという手法である。ただし,レジストの側壁がすべて金属膜で覆われてしまうと,レジスト剥離液が浸透できないのでレジストが取れなくなる。これを防ぐため,レジストの上部に庇(ひさし)状の突起を付けたり,レジストを逆テーパ型に作ったりするなどの工夫をしている。

 マスク蒸着やリフトオフは,多層金属のパターンを形成するときに便利である。多層の金属膜はエッチング液に入れたときに局所電池が形成され,電触で下の層だけがエッチングされるなどの不都合が起きる。多層金属膜でパターンを作るときは,エッチングするよりも,マスク蒸着やリフトオフを使った方がうまくいくことが多い。

出典:2006年11月発行 p.258 MEMS テクノロジ 2007
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