ここまでも青い海──。沖縄の第一印象は、とにかく海だ。サンゴの里海ともいわれる、サンゴ礁に囲まれた島の景観は、まさに南国の趣。ここで生まれたサンゴの卵は、沖縄本島や周辺の島はもちろんのこと、遠く本土にまで供給されているという。

 そんな、どこまでも青く透き通った海とサンゴ、さまざまな熱帯魚に魅せられ、沖縄には年間589万人もの観光客が訪れている。そのうちの約40万人がダイビング目的といわれているが、もっともっと観光ダイバーの数を増やし、ひいては沖縄の観光産業を発展させて多くの雇用を生み出そうとする人たちがいる。

 観光産業を発展させよう。言うのは簡単だが、ホテルやレストランといった第三次産業はもう飽和状態で、欲しいのは第二次産業。観光産業に関連するものづくり事業が欲しいというのはうなずける。しかし、自動車や家電、まして鉄鋼や造船といった巨大な産業がない沖縄でものづくり事業を、しかも海という資源を生かして起こすのは、そう簡単なことではない。40年以上もものづくりのお手伝いをして来た鉄人にしても、最初に聞いたときはハタと首をかしげた次第である。

 だが、そのアイデアにビックリした意表を突かれたとか、奇をてらっていたとかではない。なるほど、そうきたかという「グッドアイデア」に驚いたのだ。何と、水中可視光通信機、およびそのシステムの開発を進めているというのである。

 有線の光通信ではない。水中可視光通信は、水の中で可視光、つまり赤外線などではない、目に見える光を使って音声や、いずれは画像データなどを無線で送ろうという技術なのだ。まさに、透き通った青い海に囲まれている沖縄ならではの事業ではないか。

〔以下、日経ものづくり2011年3月号に掲載〕

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立、代表取締役に。現在、40数社の顧問、日本知的財産戦略協議会理事長、宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー、日本特許情報機構理事、金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。

出典:開発の鉄人、現場をゆく
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