日経ものづくり 材料力学マンダラ

第22巻
梁理論は万能か

広島大学大学院教授 沢 俊行


●梁とは「断面の寸法に比べて長さが十分に長い」もの
●梁が「十分に長い」ほど,梁理論の精度が高まる傾向に
●梁理論を適用する場面では,誤差の大きさを認識すべし


 大学で学ぶ材料力学の前半の中心テーマはご承知の通り「梁理論」です。実際の設計の場面でも,実によく登場します。しかしそのせいか,この理論を「万能」と信じている方も多いようですが,果たしてそうでしょうか。今回はこのことについて,実例を見ながら検証していこうと思います。
 ここで重要になるのが,梁の定義。「断面の寸法に比べて長さが十分に長い」とされています。これに「横荷重が作用する」ときに梁理論を適用するわけですが,では,先の定義にある「十分に長い」とは,具体的にどれくらいを指すのでしょうか。実は,梁理論を利用する上で,この感覚が大事なポイントになるのです。
 まず,簡単な例を考えてみましょう。図は,長さツの片持ち梁の先端に,大きさ10Nの集中荷重Pが作用するケース。梁の断面形状は10mm角の正方形,縦弾性係数Eは鋼の206GPaとします。このときの梁先端のたわみδと最大曲げ応力σは,これまでに幾度となく計算してきた次式になります(今回はδやσの導入を省略しますが,必ず自分で確認するようにしてください)。

日経ものづくり
図●先端に集中荷重を受ける,断面が正方形の片持ち梁

出典:材料力学マンダラ
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。