競争が激しくグローバル展開も進む中で、製造業各社は開発効率化を進展させてきました。その結果、技術伝承が行き届かなったという問題が発生しており、技術者育成は重要な課題になっています。昔ながらの「背中を見て学べ」では育成に時間がかかり、また「失敗させて学ばせる」余裕もありません。多くの企業では、このようなOJT(職務遂行を通しての訓練)のやり方を試行錯誤しつつ研修といった座学もあわせて行う取り組みが見受けられます。このような育成アプローチにおいて、実際の開発業務で期待する成果が出ていないという声をよく聞きますが、それはなぜでしょうか。

 まずOJTの現状についてです。外部環境の多様な変化に対応するために中間管理職を始め多くの後進指導者は、多忙極まりない毎日を送っています。これらの方々は、プレイングマネージャーとしての業務を抱え疲弊してしまっている場合も多く、部下やプロジェクトメンバーの育成の必要性は頭では理解していても、OJTでのきめ細かい指導は難しくなり、つい部下指導を後回ししてしまいます。

 次に研修では、知識としては理解できても身につけるまではなかなかできず、結果として開発業務成果を出すことは困難です。研修内容を身につけられない理由として、それらが各受講者の業務に対して最適化されておらず、汎化された内容であったり、逆に専門的な内容に特化しすぎると他領域における適用が困難になってしまったりすることが挙げられます。そこで、実際の業務への適用に際して研修内容を自分なりに変換することが不可欠となりますが、この変換の仕方が個人に依存してしまっており、実務適用への壁となっているのです。また、そもそも学びを実践する機会がなければ、その貴重な学びが風化してしまい身につけることができなくなります。

実務適用への壁

 それでは、業務成果に結びつけるための有効な育成アプローチとはどのようなものでしょうか?ここでは精密機器メーカーA社における我々の取り組み事例をご紹介します。

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