イラスト:ニシハラダイタロウ
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 変な話があるものだ。「せっかくのご提案ですが、時期尚早と判断しました」と、私たちの申し入れが断られたのである。クライアントの開発テーマ、我が方だけでは難しいと考え、ある企業に共同開発をしようと申し入れたのだが、それに対する回答が「時期尚早」なのだ。

 その企業、地域ナンバーワンの名門企業でもあり、お互いの技術やノウハウを持ち寄れば、お互いにウィン・ウィンの関係になるだろうと、私としては、まさに白羽の矢、大いに期待していた企業だ。だから、他の企業と天秤に掛けることもなく、一期一会という気持ちで、とにかく一緒にやって欲しいと持ちかけたのだった。

 それで、ご縁がないなら仕方ない。相性ということもあるし、気が進まないならそれでよい。しかし、断り方が「時期尚早」とはいかがなものか。どうも、やるか、やらないか決められないので、時期尚早と言うことにしたようなのだが、この話の背景には、企業が新しいことを始める時期をどう計るかという、共通の悩みもあるようだ。

 多分、私たちの申し入れに対して、迷いがあったに違いない。いい話ではあるが、本当に上手くいくのだろうか、あるいは、何か不足があるのではないか、名門企業ならではの責任もあるし、名声に傷がつくのも困るだろう。ましてや、決められないからできませんとは言えないだろうし、せっかくの申し入れに対して、相手に失礼があってはいけないとの配慮があったのかも知れない。