前回はシリコンバレーが人びとが集う大きな「縁側」として機能し、企業と社会の間でヒト・モノ・カネ、特に人をつなぐ役割をしていると述べてきました。

 多くの企業でオープンイノベーションによる関係が作られていますし、さまざまなビジネスをデザインする仕組みが実際に、そして具体的に「縁側」のもたらす効果として機能しています。

 シリコンバレーのような社会インフラとしての「縁側」が十分に育っていない日本では、企業はどのようにして新しいビジネスを生む可能性を秘めた「縁側」を作って機能させていけばよいのでしょうか。

 今回は実際に私たちが「縁側」を作っていく場面を考え、その仕組みを詳しく見ていきたいと思います。

ビジネスをデザインする仕組みを組み込んだ“場”を用意する

 私にはある印象的な若い頃の経験があります。

 まだ前職の企業の研究所に勤めていたときなのですが、そこでは社員同士あまりコミュニケーションがなく、各自は黙々と自分に与えられた仕事をこなしているという状態でした。

 私は上司に、「自由闊達に意見を述べてコミュニケーションをもっと活発にしたい」と相談をしました。上司は彼なりに考えたのでしょう。翌日研究室の全員をミーティングルームに集め、「生島から自由闊達に意見を交換したいとの申し出があった。そこから順番に自由闊達に意見を述べよ」と指示したのです。

 上司の申し出はありがたかったのですが、実際何が起こったでしょうか?

 その場の全員はうつむき、当然のことながら自由闊達には意見が出るという状態とは程遠い雰囲気でした。コミュニケーションの活発化は不発に終わりました。

 人は問題を発見し、それを認識し、解くことで新しいイノベーションを起こします。それは技術的なことだけでなく、ビジネス全般のプロセスで起こり得ます。

 困ったことを見過ごさず、アイデアを出し、ときには議論し、解決の糸口を探ることで、今までにない切り口でものごとを捉えることができるようになります。

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