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旭化成エレクトロニクス(AKM)のA/Dコンバーター(以下ADC)連載シリーズ第15話目。A君がADCの知識を深めていく連載の最終回です。今回は、SAR型とZDS型のサンプリング動作の詳細を解説します。
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K先輩「ADCのこと、少しは詳しくなったかしら?」
A君「おかげさまで、だいぶわかってきました!」
M課長「それは頼もしいな」
A君「でも、セレクションガイドのZDS型とSAR型の違いが、よくわからないですね。ZDS型はZDS-NS型とは違うんですよね??」(図1)
K先輩「ZDS型とSAR型は、ユーザーから見た使い方は一緒ね。どちらもある1点でサンプリングするナイキスト型ADCよ」
M課長「ZDS-NS型に、1点でサンプリングするためのホールド回路を付け加えて、SAR型と同じA/D変換動作を行うようにした感じだな」(図2)
A君「えー、じゃあZDS-NS型のオーバーサンプリング効果が無くなっちゃうんですか? もったいないなぁ」
M課長「その反面、SAR型と比較してアクイジション時間を長くできるなど、前段アンプに優しい構成になっているぞ」

A君「えーと、アクイジション時間ってなんですか?」
M課長「アクイジション時間を理解するには、ADCのサンプリング動作について理解しないとな」
K先輩「ADCのアナログ入力端子は、サンプリングスイッチを介して容量素子が見える、いわゆるスイッチトキャパシタ回路構成になっているのね。このSWを開閉させることで、アナログ入力値をサンプリングしているの」(図3)
A君「ふむふむ。アクイジション時間っていうのは、アナログ入力端子から見てサンプリングスイッチがつながっていてADC内部の入力容量が外から見えている状態と思えばいいんですね?」
K先輩「そう。このスイッチをオフして、ADCの入力容量を外から切り離すことをサンプリング、と呼ぶのね。切り離す瞬間に入力容量に印加されているアナログ電圧値が、変換フェーズにてA/D変換されて、デジタルコードとして出力されるのね」
A君「へえー、ADCってそういう動作をしていたんですねー。この入力容量を駆動するために、前段のアンプが必要だったわけですか。
……ん? ADCのサンプリングタイミングはユーザーが決められますよね?」
K先輩「CSNピンの立ち下げのタイミング、もしくはCONVSTNピンの立ち下げのタイミングね。これは製品によって違うよ」
A君「じゃあ、図3で言うと、変換からアクイジションに移行する境目はどう決まるんです? つまりアクイジションの開始ですけど?」
K先輩「これも製品によってそれぞれ違うよ」
M課長「アクイジションの開始が早いこと、すなわちアクイジション時間を長くとれること、ここがZDS型のポイントだぞ」(図3)
K先輩「ADCのアナログ入力を駆動するところが、データシートに書かれているADCの特性を引き出すために、一番苦労するところだからねー。アクイジション時間が長い方が、特性を出しやすいよ」
A君「えーと……、アクイジション時間が長いほど、前段アンプがADC入力容量を駆動するのに使える時間が長くなるから、アンプが楽できる、っていうイメージですか?」
M課長「ずいぶんADCの動作イメージがついたじゃないか。すばらしい!」

A君「なんでZDS型はアクイジション時間を長くできるんです?」
M課長「SAR型では構成上、A/D変換フェーズの間はサンプリングしたアナログ電圧値を入力容量に保持し続けないといけないんだが、一方ZDS型は基本構成がΔΣ型だから、入力容量に貯まっているアナログ電圧信号に相当する電荷を積分回路に転送できるので、A/D変換フェーズの途中から入力容量を利用可能になるんだな。だから、アクイジションを早く開始できるんだ」
K先輩「つまり、ZDS型はアクイジションフェーズとA/D変換フェーズをオーバーラップできるのね。だからアクイジション時間をSAR型に比べて長くしやすいのよ」
M課長「もう一つのポイントは、18bitのような高い分解能を実現するために必要な入力容量が小さいという点だ。アンプにとっての負荷も減るし、キックバックも小さくなる」
K先輩「キックバックっていうのは、ADCの入力容量に貯まったままの、前回の入力電圧値に相当する電荷量が、サンプリング開始のタイミングにADCの外へと逆流することよ。これも厄介なのよ」
A君「……(まだわからないことが多いなぁ)」
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この続きはAKMウェブサイト内『A/Dコンバーターの基礎知識にて』!

図1 AKMADCセレクションガイド
図2 各ADCの内部構成比較
図3 ADCのサンプリング動作と比較