テクノロジーNEXT 2018 15B全産業 新世代電池

15B全産業 新世代電池 2018年6月15日(金) 10:00~16:30

革新的電池が巻き起こすEVイノベーションウエアラブルから飛行機まで、あらゆる人工物が電動化する

 電解液のない全固体電池など革新的な新型電池が相次ぎ登場している。“満電”まで5分の超高速充電、くぎを打っても発火しない安全性、折り曲げ可能など形状自由な柔軟性、そして電子部品のように製造・実装できる量産性を実現できる。ウエアラブル端末やスマートフォンといった小型のスマートデバイスから、EV(電気自動車)や電動飛行機などのモビリティー(移動手段)、住宅向けや大型蓄電所向けの蓄電システムまで、電気で動くあらゆる人工物を一新する。例えば5分の超高速充電は現在30分必要なEVの待ち時間をガソリン車並みに短縮する。高い安全性は例えばビルや住宅の建材の一部として埋め込むことを可能とし、また高い柔軟性は機器のデザインの自由度を大いに高める。そして、電子部品と同等レベルに引き上がる量産性によって、EV普及のボトルネックを解消する。もっとも、どの新型電池にもメリットとデメリットがあり、表層的な特徴を理解しただけでは、市場の方向性を見誤る。本セミナーでは、新型電池の開発者とその応用システムのエンジニアが、卓越した性能と実用化に向けた課題、応用市場のポテンシャルを浮き彫りにする。

開催概要

開催日時 2018年6月15日(金) 10:00~16:30(開場 9:15予定)
会場 ベルサール御成門タワー(東京・御成門)
東京都港区芝公園1-2-2 MAP ↗

プログラム

全固体電池技術の神髄と未来のクルマ社会

これまでLiイオン電池はスマートフォンなど主にモバイル機器の小型軽量電源として成長してきたが、ここにきてEV(電気自動車)など車載分野に向けて急展開している。そんな中、高イオン伝導度を有する硫化物系固体電解質が発見され、全固体電池が実際に試作されるようになった。その結果は従来の常識を覆すものだった。本講演では全固体電池を含めてさらに進化するLiイオン電池の動向と、それがもたらすクルマの電動化と、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)の3つが融合して生まれる未来のクルマ社会「AIEV」(Artificial Intelligence Electric Vehicle)を紹介する。

吉野 彰 氏

旭化成
顧問
吉野 彰

航空産業に革新をもたらす電動化――静かな旅へ、エアバスが描くシナリオ――

EC(欧州委員会)は航空業界が2050年に実現すべき姿として「Flightpath 2050」を打ち出している。これは2050年までに「CO2の60%削減」「NOxの90%削減」「騒音の75%削減」を目指すもので、現在の技術では実現不可能である。そこでフランスAirbus(エアバス)は数億ユーロを投じて航空機の電動化とハイブリッド推進の研究開発に取り組んでいる。これは航空機を再定義して全く新しいデザインを生み出すことになる。同社は小型機から大型機までさまざまなタイプの機体で電動化を進めている。例えば短距離・都市間の小型機では1~4人乗りのフル電動化VTOL(垂直離着陸)機「Vahana」「CityAirbus」、大型機ではフル電動化へのステップとしてハイブリッド型旅客機をそれぞれ開発中である。同社で電動化の研究開発を主導するGeneral Manager, Electrification CTOのGlenn Llewellyn氏が電動航空機のシナリオを語る。

Glenn Llewellyn 氏

フランス Airbus(エアバス)
General Manager, Electrification CTO
Glenn Llewellyn

※このセッションは同時通訳が入りますので、日本語で聴講いただけます。

EV普及に向けた超急速充電、長寿命な次世代二次電池

東芝が開発を進めている、充放電サイクル寿命や安全性を高めたLiイオン2次電池「SCiB」は2011年にホンダの「フィットEV」に搭載された。そこから7年かけて、入力密度と体積エネルギー密度を高めた「次世代SCiB」を開発した。ドイツで設置が始まりつつある出力350kWの充電器を使えば6分で90%の充電が完了し、EVの利便性を大幅に高めることができる。加えて次世代SCiBでは充放電サイクル寿命をさらに伸ばすことができる。将来のEVの本格普及のため、電池材料の資源を有効に活用しなければならない。そのために電池の残価価値を高め、EVの中古市場の拡大と電池リユースを推進できる耐久性能に優れた次世代SCiBが期待される。同社の開発者が次世代SCiBの実力と今後の展望を紹介する。

高見 則雄 氏

東芝
首席技監
高見 則雄

形状自由でくぎを打っても発火しない全樹脂電池、未来の人工物を刷新

本講演では画期的な新型Liイオン2次電池である「全樹脂電池」を解説する。電池の主な構造体(電極、集電体、セパレーター)に金属を一切使うことなくすべてを樹脂で構成する。折り曲げられるような自由な形状の電池を造れる。また、くぎを打っても発火する危険のない高い安全性を持つため、一般住宅の建材の一部としても活用できる。加えて、製造時の乾燥・加圧工程を省くことが可能なので、生産プロセスの簡素化とそれによる生産性の大幅な向上が期待できる。このような全樹脂電池がもたらすのは、EV(電気自動車)をはじめとする電動モビリティー(移動手段)、人が身に付けるスマートデバイス、人と協調する各種ロボット、大型発電所と結び付いた大型蓄電所など、数々の新機能を持った人工物である。その未来図も紹介する。

堀江 英明 氏

慶應義塾大学
特任教授
堀江 英明

再生可能エネルギーの大量導入時代の到来によって広がる次世代電池の役割

わが国では、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー電力の大量導入が進んでいる。近い将来、風力発電等の導入も進めば、再生可能エネルギー電力が基幹電源として見做せる時代もそう遠くはない。現在、これらの電源の多くは電力系統に接続されているため大規模な需給バランスの調製や周波数変動等の抑制のため大型蓄電池なども利用した電力システム強化が試みられている。一方、ポストFITや再生可能エネルギーの地産地消の観点からも、今後蓄電池の役割はますます広がると考えられる。本講演では、再生可能エネルギーの大量導入に向けた電池の役割について展望する。

瀬川 浩司 氏

東京大学
教授
瀬川 浩司

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