追加開発とテスト、教育を乗り切り、最後の難関である切り替えを迎えた。運航便への影響を避けるため、PSS(旅客系基幹システム)を全面停止できるのは前日の夜から6時間だけ。全社一丸となって最後の力を振り絞り、15分前倒しで切り替え作業を終えた。

 「システム刷新はようやくサービスインというところまでこぎ着けた。これで40~50年前のシステムから脱却し、最新の情報システムを使って経営できるようになる。不安よりもワクワク感のほうが大きい」――。PSS(旅客系基幹システム)の切り替えを半月後に控えた2017年10月31日、JALの植木義晴社長(現会長)は2018年3月期中間決算説明会の質疑応答でPSS刷新の所感を聞かれ、力強い口調で淀みなく応じた。

利用部門も一丸となる

 西畑執行役員や青木部長らが指揮を執り始めてからのSAKURAプロジェクトは2017年11月16日という本番稼働を一度も変更することなく開発やテスト、教育、移行準備などを進めてきた。ただ、前述した国内線の運賃体系への追加カスタマイズなどが発生して一部の計画が遅延。2017年に入っても開発作業が続いていた。

 そんななかでも、JALグループ社内では2016年夏頃から本番稼働に向けた機運が徐々に高まっていた。「毎月の部長会は2016年夏頃に潮目が変わった」と青木部長は話す。それまでは青木部長の説明を約25人の部長が聞くだけだったが、「数人が私に向かってではなく他の部長たちに向かって『青木が言っているのはこういうことだ。問題点がクリアされたんだからこれでやっていくんだ』と一緒になって説得してくれるようになった」(青木部長)。

 さらに2016年末になると、利用部門長たちが自らの部の準備状況を赤・黄・緑で表現し、残っている課題を説明するようになった。「見える化の徹底と信頼関係の醸成によって、利用部門が当事者意識を持ってくれた」(同)。

 Alteaを操作する現場である空港子会社のJALスカイやコールセンター子会社のJALナビアでも同様に自律的な準備が進むように変化してきた。プロジェクトそのものは追加開発の発生により綱渡りの状況だった。「1万人の教育が始まった2017年春以降も、機能追加や画面変更の業務連絡が複数回送られてきた」(JALスカイで羽田事業所空港オペレーション国際部に務める細沢恵理子氏)。

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