ディスプレー分野で世界最大の学会「SID 2018」(5月20日~25日、米国ロサンゼルス)のシンポジウムで、筆者が興味を持ったシンポジウムの講演を報告するシリーズ。最終回となる第7回は、“自発光の透明液晶パネル”を実現した、日本化薬の偏光発光フィルム技術の詳細を解説する。同社は“Polarized Light-Emitting Films for Transparent and Self-Emissive LCDs”と題して発表した(論文番号74.3)。

ヨウ素系偏光板 の課題

 ヨウ素は二色性色素として知られており、従来の偏光板に広く使用されている。従来のヨウ素系偏光子は、ヨウ素とポリビニルアルコール(PVA)樹脂の複合体である。PVA-I3とPVA-I5が主成分であり、波長480nmと600nmの光を主に吸収する。吸収型二色性顔料は、偏光板に使用される。二色性顔料を用いた従来の偏光子の透過率は、平行状態で約35%であり、波長依存性を持つ。この場合、偏光子自体は発光しない(図1)。

図1 ヨウ素系偏光板の特性
(出所:日本化薬)
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 このような偏光板は液晶パネルに使用される。近年、「シースルーディスプレー」として知られる透明ディスプレーが開発されている。1つの画像を透明なウィンドウに表示し、別の画像をウィンドウを通して見ることができる。さらに、ARディスプレーなどのアプリケーションも期待される。

 このような透明ディスプレーは、有機ELまたは液晶を用いて製造されている。従来の偏光子は、平均透過率が30~40%程度であり、平行状態と直交状態の両方において顕著な波長依存性を持つ。液晶を用いて透明ディスプレーを製造できるが、その可視透過率は必然的に低く、しかも緑黄色に色付く。偏光板を備えた透明ディスプレーの場合、液晶は自発光ではないので、液晶の可視性は有機ELよりも低い。

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