総論賛成、各論反対――。デジタル変革のような難しいプロジェクトでは、抵抗勢力がつきものだ。現場の抵抗にあって、仕事が思うように進まない。こう悩んでいる読者は少なくないだろう。では、どうすれば難局を打開できるか。本特集では、デジタル変革のあり方について議論する「日経 xTECH ITイノベーターズ会議」で出たデジタル変革リーダーの発言を基に、抵抗勢力を味方にするためのノウハウを紹介する。

 デジタル変革の抵抗勢力のなかで、特に対処しにくいのが感情的な相手だろう。「あいつの案件には協力したくない」と思われたら、何事もうまくいかない。変革を推進するには、関係者との信頼関係の構築がとても重要になる。

 「勤務時間外にお笑い芸を披露している」。こう切り出すのは、富士フイルムのIT子会社である富士フイルムICTソリューションズの横山立秀社長だ。笑いを取ることで、抵抗勢力との心理的な距離を縮める。海外拠点の従業員の抵抗を抑えるために考えついた。文化や慣習の異なる外国人の心をつかむこのテクニックは、日本人相手にも応用できそうだ。

富士フイルムICTソリューションズの横山立秀社長
(写真:井上 裕康)

 横山氏は、いわゆる鉄板ネタを持っている。パーティーの席で、金髪のかつらをかぶり、米国歌手マドンナの名曲「ライク・ア・ヴァージン」を熱唱するのだ。「恥を捨てて思い切りよく歌うと、どんな国籍の相手だろうと確実に大爆笑する」と横山氏は話す。

 パーティーで笑いを取る効果は絶大だ。次の日から横山氏に対する従業員の態度は好意的なものに変わり、厳しい依頼でも反発されることが格段に少なくなったという。「外国人はユーモアのあるリーダーに好意を抱く傾向がある。日本人はシャイで口下手、ユーモアがないと思われがち。そうではないことを行動で証明すれば、必ず外国人のファンを作れる」と横山氏は力説する。

 マドンナ芸をするようになったのは、ある苦い経験があったからだ。富士フイルム本体に所属していた1996年に、米国拠点でSAP製ERP(統合基幹業務システム)を導入したときのこと。プロジェクトに加わった現地の従業員から不本意なあだ名を付けられ、猛烈な反発を受けた。その名は「スレーブドライバー(人使いが荒い雇い主)」。

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