病院や空港など不特定多数の人がいる場所でも利用できる搬送ロボット「HOSPI」、介護用ベッドと車いすを組み合わせた介護ロボット「リショーネ」(図1)──。

図1 パナソニックの自動搬送ロボット「HOSPI」
(出所:パナソニック)
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 パナソニックは、人と共存するサービスロボットの開発や普及に力を入れている日本企業の1社である。具体的には、ロボットを開発するだけでなく、ロボットの安全に関する国内外の標準規格策定に参画したり、痛みや不快感といった比較的低いレベルの人への危害を計測する新しい技術を開発したりしている。

空白の13年間で掃除ロボット市場を失う

 人と共存するロボットの安全性の担保は、家電に比べて難易度が高い。生活空間を動き回るロボットは、人やモノに対して物理的に悪影響や何らかの危害を与える可能性があるためだ。

 実は、パナソニックはロボットの安全性の担保に関して苦い経験を持つ。同社は2002年に「世界初の家庭用掃除ロボット」(同社)を発表している(図2)。1980年代から開発を進め、1993年には羽田空港に導入した業務用のロボット掃除機の技術を活かした製品だったという。

 しかし、実際に発売できたのは2015年で、市場に投入するまでに13年もの歳月を要した。いまや家庭用掃除ロボットの代名詞になっている米アイロボット(iRobot)の「Roomba(ルンバ)」が発売されたのも同じ2002年であり、パナソニックにとっては“空白の時間”に大きな市場を失ってしまったことになる。

図2 2002年に発表した家庭用掃除ロボット
業務用のロボット掃除機は1980年代から開発を進め、1993年には羽田空港に導入している。その技術を生かして開発した家庭用のロボット掃除機だったが、当時は製品化されなかった。(出所:パナソニック)
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 当時、掃除ロボットを発表しながら市場投入できなかった理由について、パナソニックはこう説明する。「家庭用ロボットの安全性を明確に説明できる規格が当時はなかった」(プロダクト解析センター 電気ソリューション部システム安全設計課課長の岡本球夫氏)。

 不運だったのは、2002年ごろの同時期に、パナソニック製の石油ファンヒーターの大規模リコールが発生。安全や品質の担保に関して、社内が非常に慎重になっていた。そのため、「お客様に自信を持って、安全だと説明できなかった」(岡本氏)。

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