次の100年に向けて新規事業の創出を試みるパナソニック。米シリコンバレーで新たなものづくりの方法論を開発する「Panasonic β(パナソニックベータ)」や、オープンイノベーションの場となる「Wonder LAB Osaka」「100BANCH」(ヒャクバンチ、パナソニックが東京・渋谷で行っている若年世代との共創・支援施設)、カンパニーの1つであるアプライアンス社を中心とした社内アクセラレーター「Game Changer Catapult」、さらにはベンチャー企業の買収など、社内外の知見を集める「協業」にあの手この手を繰り出している。AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)など新たな技術の登場で事業環境が変わるなか、成功のカギはどこにあるのか。CTO(最高技術責任者)などを務める宮部義幸専務執行役員に聞いた。

(聞き手は日経 xTECH 副編集長 川又 英紀、宇野 麻由子)

宮部 義幸 専務執行役員 CTO、CMO、CQO、CPO、CIO
(撮影:北山 宏一)
[画像のクリックで拡大表示]

今後の技術でいえば、AIとIoTは無視できません。これらのテクノロジーをどう見ていますか。

 材料技術やデバイス技術とは異なるものと考えています。そういう意味もあって、イノベーション推進部門の中で、かつての先端研究本部の技術者を「テクノロジーイノベーション本部」と「ビジネスイノベーション本部」に分けました。

 テクノロジーイノベーション本部はどちらかというと、材料技術やそれを使ったデバイス技術を中心に活動している組織です。材料技術やデバイス技術は強い材料や強い技術が見つかれば、それによって既存製品を進化させたり、技術中心で新事業を作ったりできるので、テクノロジーアウトのイノベーションができます。メインテーマは2次電池の革新的な材料技術や水素を使った次世代エネルギーの周辺技術でしょうか。テクノロジーの変化を起こすことで世の中が変わっていく可能性がある、という分野を中心に取り組んでいます。

 一方、AIやIoTといった技術は、ビジネスイノベーション本部が扱う領域になります。AIやIoTを適用したとき、一番価値を生み出せるアプリケーション領域を見つけることが最大のテーマです。例えば、今言われている第3次AIブームは、かつてのAIよりもはるかにやれることの範囲が広がったということ。ディープラーニング(深層学習)などによって起きた変化やインフラの変化、IoTの変化…こうした変化のなかで、AIやIoTをどういう分野に適用すべきかがカギになります。

 つまり、テクノロジードリブンではなく、ビジネスドリブン。あるいはマーケットドリブンだと思います。今はその2つのアプローチを明確に組織を分けて考えています。

パナソニックはAI人材を2022年までに1000人に増やすと発表しています。2017年10月には米国のデータ解析ベンチャーであるアリモ(Arimo)を買収し、「スター技術者」も獲得しました。

 AIは応用技術を中心に、人材をそろえていきます。ですから、大きくはディープラーニングをよく理解した人と、データ解析を極めた人を重点的に強化しているところです。アリモはデータ解析に強い会社です。本社の技術部門だけではなく、アリモの人材がソリューション部隊と一緒に仕事をすることを考えています。こうした動きを含めて、広い意味でAI人材の強化と考えてください。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら