生産性を向上しながら、いかに時短を進めるか――。働き方改革が叫ばれるなか、建築設計事務所に与えられた課題だ。まずは個々の設計者の意識を変えることが欠かせない。さらに、仕事のピーク時に組織を挙げてどう平準化を図るかもポイントだ。日建設計による「時間デザイン」の取り組みとは?

 日建設計は、2017年1月から「時間デザイン」と名付け、過剰労働を減らす取り組みを進めている。目的はワークライフバランスの実現、長時間労働からの脱却による生産性の向上、グローバルな人材の獲得――の大きく3つだ〔図1〕。

 同社コーポレート部門の堀井一孝副代表は、次のように説明する。「時間デザインとは、各自が時間の使い方をきちんと計画すること。そのうえで上司とのコミュニケーションを通して共有し、終わったら振り返る。このプロセスを1週間サイクルで回していく」

〔図1〕個々の予定を1週間ごとに振り返る
日建設計で取り組んでいる「時間デザイン」の概念図。所員自ら時間の使い方を計画し、設計部長と話し合いながら、システム上で1週間ごとに予定と実績を管理する(資料:日建設計)
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 目標は設計部門約700人の労働時間を1年当たり10万時間削減することだ。参加プロポーザルの選別、打ち合わせ人数の絞り込みなど、見直し項目を実行していけば達成できる見込みだ。

 時間デザインを補完するために、18年1月にマトリックス型組織に改編した〔図2〕。複数の設計部を設計グループとして束ね、全グループを串刺しする形で8つの分野を設けた。分野ごとにプロジェクトの品質、売り上げなどに責任を持つ設計代表を置くが、人事権は持たない。設計グループ内で人員を調整し、部を超えてプロジェクトごとに所員をアサインする。人員配置を管理するのは設計グループのマネージャーの仕事だ。

〔図2〕マトリックス型組織で補完
マトリックス型組織のイメージ。分野ごとの責任者がプロジェクトの質を管理し、それとは別体系の設計グループごとに人員を管理する(資料:日建設計)
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 グループマネージャーは、設計部長の中から適した人材を任命した。設計部長と兼務しながらグループに所属する100~130人を管理する。所員1人に対して複数の指揮系統があるようにも見えるが、基本となるのはこれまで通りの設計部だ。時間デザインの導入によって、部内では人員のやりくりに限界があるので、複数の部同士で調整できるようにした。所員にとって、多分野に渡って経験を積めるメリットも生まれた。

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