シーラカンスK&Hの工藤和美氏、日建設計の山梨知彦氏、アラップの金田充弘氏、フジワラテッペイアーキテクツラボの藤原徹平氏。4月20日の「日経アーキテクチュア・フォーラム2018」で、建築界の先頭を走る4氏が「建築ワーク・イノベーション」をテーマに語り合った。2回に分けて要旨を報告する。その後編。

前編から読む。
4月20日、日経アーキテクチュアは購読者を招いて「日経アーキテクチュア・フォーラム2018」(ヤクルトホール、東京都港区)を開催した(写真:都築 雅人)
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 レポート後編の今回は、事務所の設計体制やスタッフの育成方針などに関する4つの質問(下記)へのコメントを、パネリストごとにまとめた。

  • Q.創造性、生産性を上げるためにどんな体制を採っていますか?
  • Q.スタッフの採用、教育方針は?
  • Q.「自分の後継者」を考えていますか?
  • Q.これから力を入れたい領域は?
  • (上記以外については前編を参照)

職住近接、コミュニケーション向上で効率化を図る

工藤和美氏(シーラカンスK&H共同代表)

工藤和美(くどうかずみ)
シーラカンスK&H共同代表。福岡市出身。横浜国立大学建築学科卒業、東京大学大学院修士・博士課程修了、1986年シーラカンスを共同設立、98年シーラカンスK&Hに改組。現在は同社代表取締役、東洋大学教授、UDCOセンター長(2017年~)を務める。主なプロジェクトは、千葉市立打瀬小学校(95年)、福岡市立博多小学校(2001年)、金沢海みらい図書館(11年)、山鹿市立山鹿小学校(12年)、東松島市立宮野森小学校(16年)(写真:都築 雅人)
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 1986年に6人でシーラカンスを立ち上げて設計活動を始め、98年に(夫の)堀場弘とシーラカンスK&Hを設立した。当初は事務所内で堀場と多くの時間を共有していた。その後、私は東洋大で教えるようになりUDCO(アーバンデザインセンター大宮)のセンター長を務めるなど、事務所で過ごす時間が少なくなった。

 堀場も同様の状態なので、2年前に3人のスタッフをパートナーに上げて仕事を分担できるようにした。後継を考え、事務所の蓄積を引き継ぐ意識もある。パートナーの1人が契約関係を束ね、プロジェクトは必ずこのパートナーを通して進めている。

 子どもが小さい頃は特に、大学や事務所と家の間の移動が大変だった。仕事の効率を高めるには通勤時間の短縮が必須だったため、自宅と事務所を近接させた。現在は、堀場が所有する形で建てた建物の一部に事務所が入居している。目指したのは家のようなオフィス。私の趣味を兼ねて植物を育てたり、キッチンを2カ所用意してスタッフが食事の時間を楽しめるようにしたりしている。

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現在の事務所とミーティング風景(写真:シーラカンスK&H)

 限られた時間のなかでいかにコミュニケーションを深め、プロジェクトの内容を把握していくかを重視してきた。打ち合わせは、2週に1回開く所内ミーティングのほか、設計担当者や現場とのミーティングを随時行う。プロジェクトはアルファベット3文字の名前を付けてデータベースで資料を整理し、所員が自由にアクセスできるようにしている。

 現在の所員は15人ほど。アルバイトを含めておよそ20人という規模のため人間関係が固定化しやすい。海外からの研修生をなるべく受け入れるなどして、盛り上がりをつくりながらコミュニケーションを深めるよう意識している。

 30年にわたる設計活動では初期の頃から公共建築に携わり、法規や制度改革などの委員会にも参画してきた。これらの任期が終わった現在は、もっと自身の設計活動をしていきたいという思いが強い。(談)

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