苦闘する新構造の車体骨格「iStream」の開発継続と並んで、ヤマハ発動機の4輪参入のカギを握る一手が“準4輪車”の開発である。4輪を備えるが、通常の4輪車に必要な厳しい衝突安全基準の対象外となる車両である(前編:ヤマハ発、4輪参入への突破口)。

 代表例がハイブリッド車(HEV)のコンセプト「MWC-4」と、ゴルフカートを基にした低速自動運転車。低い参入障壁と既存の2輪車技術を生かして、今後の4輪車で主流になる技術開発を早く進める。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
左が「MWC-4」、右が低速自動運転車「PPM」(右の出所:ヤマハ発動機)

 MWC-4は、2輪車に近い運転感覚を狙うコンセプト車である。2人乗りで、4輪を備えた。HEVにしたことに加えて、2輪車のようにリーン(内傾)させて曲がる特徴がある。2017年10月に、「東京モーターショー」で発表した。

 “準4輪”と呼べるのは、2輪車などの車両区分である「L5カテゴリー」に入ることを想定するからだ。L5は、2輪車の延長にある3輪車が対象で、自動車の厳しい衝突安全規制の対象外になる。ヤマハ発動機が得意とする2輪車や3輪車の開発経験を生かしやすい。2輪車の衝突安全規制の範ちゅうであれば、ボディーを簡単に造れる。

 なお、2輪車に近いと主張するが車輪が4個あるMWC-4がL5カテゴリーに相当するのか決まっていない。実用化時期は未定だが、量産前に国土交通省などの判断を仰ぐ必要がある。

 MWC-4は、後ろの左右輪に備えたインホイールモーター(IWM)で駆動する。2輪車用ガソリンエンジンで発電し、リチウムイオン電池に充電するシリーズHEVとした。小容量電池で長い航続距離を実現する。

 シリーズHEVは、今後の4輪車で主流の一つになり得る方式だ。代表例が日産自動車の小型車「ノート」で、日本で販売好調である。2輪車エンジンを使ったシリーズHEVとして、ドイツBMWが開発する小型HEV「i3」もある。2気筒ガソリンエンジンを発電用に搭載する。

 ヤマハ発動機は発電エンジンとして、既存の1気筒品か2気筒品の搭載を想定する。「できれば2輪車用をそのまま使いたい」(ヤマハ発動機モビリティ技術本部NPM事業統括部LMW開発部長の伊藤洋氏)考えである。既存の開発資産と生産ラインを生かしてコストを抑えられる。

 同社のエンジン技術力は高い。株主の1社であるトヨタ自動車には、共同で開発した排気量2.0Lのターボガソリンエンジン「8AR」を供給している。

トヨタと共同開発した直列4気筒の直噴過給ガソリンエンジン「8AR」

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら