ものづくり、建設、ITの各業界において世間を大きく騒がせた大事故やトラブルを受け、企業の取り組みや制度・ルールはいかに変わったのか。過去の事故・トラブルは今、どのような形で生かされているのか。世間を騒がせた重大な事故・トラブルの教訓とは――。専門記者が徹底的に掘り下げるとともに未来を展望する。
 第2回も「性善説か性悪説か」を主題に据え、建築分野における免震偽装事件や自動車分野における三菱ハブ破断問題などをもとに、産業界に求められる姿勢を考えてみた。

参加者 浅野祐一=日経 xTECH 建設 編集長/日経ホームビルダー編集長
吉田 勝=日経 xTECH副編集長/日経ものづくり副編集長
中山 力=日経 xTECH副編集長/日経ものづくり副編集長
井上英明=日経 xTECH副編集長/日経コンピュータ副編集長
司会進行 大石基之=日経 xTECH編集長
戸川尚樹=日経 xTECH IT 編集長

――これまでに、データ偽装と言われてきた事件やトラブルが結構あるじゃないですか。パターンとしては、悪気はないものの、このくらいなら大丈夫だろうと判断した例も少なくないんだと思います。とにかく手抜きをして原価率を下げても、黙っていればばれないだろうみたいな本当の悪い型もあるかもしれませんが。

中山まあ、悪気ってなかなか難しいですよね。ただ、誤りだと分かっていても不正を働いたというケースはあるでしょう。

中山 力
日経 xTECH副編集長/日経ものづくり副編集長(写真:加藤 康)

――でも、人の生死に関わることであれば、それは殺人みたいな行為になるわけで。そこまでやる人はいないですよね。乗り物を扱うメーカーでは、そうした意識はどうなのでしょうか。

吉田そのことを考える材料として、三菱自動車の大型車タイヤ脱落事故が挙げられます(同社の大型車部門が2003年1月に三菱ふそうトラック・バスとして分社)。大型車でフロントハブが破断して前輪が脱落する事故が相次いだものです。ハブの破断問題に関しては、現場はデータ偽装を知っていました。しかも、結果的に死者が出た。現場に悪意があったか否かは分かりませんが、大事故になったのです。だれもタイヤが脱落してもいいとは思っていないでしょう。

――そうですよね。

吉田データ偽装が死者を出す事態に至るとまでは、想像できなかったのでしょうね。

井上だって殺したいなんていう気はないわけですよね。

吉田ただリコールを出したくない。そんなプレッシャーに負けて不正に手を染めたわけですよ。

タイヤ脱落事故の経緯。1993年に製造を始めたD型ハブに事故が集中。2002年には横浜で事故原因の見直しのきっかけとなる死傷事故が発生した。しかし、三菱自動車は「整備不良」との姿勢を固持し、結局リコールまでに2年以上を要した
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