2020年に訪日外国人観光客数4000万人を達成するという政府目標を追い風に、拡大する宿泊市場。18年6月には住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行し、全国的に民泊が解禁される日が迫る。多様化する宿泊ニーズを取り込もうと、宿泊施設の開発競争が白熱している。連載第3回は、7つのキーワードから宿泊施設の変化を読み解く。(日経 xTECH/日経アーキテクチュア)

 国は2020年度の訪日外国人(インバウンド)旅行者数を4000万人に増やす目標を掲げる。1974万人だった15年度から倍増させる計画だ。急増するインバウンド需要を見込んで、都市圏を中心に宿泊施設の新設ラッシュが続く。需要を確実に増やし集客に結び付けるには、日本を訪れてその施設に宿泊したいと思わせる独自の魅力が必要だ。

 ハウステンボスが計画する移動式水上ホテルは、寝ている間にアトラクション施設に到着するという非日常的な体験を提供することが集客力となる。ロボットが接客する「変なホテル」も好調で、18年度中に計13施設にまで増やす計画だ。

 古民家再生で整備した宿泊施設は、建物そのものが強力なコンテンツになり得る。近年増えているゲストハウス(簡易宿所)や、18年6月に解禁される民泊施設は、宿泊の機能や設備が最小限になるので、共用部の設えやコミュニケーションを促す仕掛けが集客のうえで重要になる。

 さらに、IR(統合型リゾート)が日本で実現すれば、観光集客のための巨大複合施設を整備する必要が出てくる。施設計画に新たな知見が求められるようになるはずだ。

移動式水上ホテル─非日常性で集客

〔図1〕プロジェクト構想段階の移動式水上ホテルのイメージ。球体型の2階建てで客室に浴室、トイレなどを備える。船などで引っ張って移動させる。2018年中の開業を目指している(出所:ハウステンボス)
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 エイチ・アイ・エス(HIS)傘下のハウステンボス(長崎県佐世保市)は、非日常性を演出する新たなホテルの計画を進めている。海の上に浮かぶ球体型の移動式水上ホテルだ〔図1〕。

 同社は、大村湾内の無人島にAR(拡張現実)などの技術を使ったアトラクション施設を計画中。水上ホテルに宿泊している間に、ゆっくりとその施設にたどり着くという演出だ。無人島の施設は2018年ゴールデンウイークに開業。水上ホテルは18年中の開業を目指している。

 同社が運営する「変なホテル」も好調だ。17年12月に発表した17年9月期の決算(単体)では、同ホテルを含む宿泊者数が前期比1.5%増の31万2000人だったこともあって、増収増益となった。

 変なホテルは、人間の代わりにロボットが接客するホテルで、大型リゾート施設「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)に隣接して15年7月に開業した。順調に宿泊者数を増やし、16年3月に2期棟を建設。18年末には3期棟を建設する予定だ。

 ロボットの導入は、省人化とエンターテインメント性の2つ側面での効果を狙ったものだ。

 省人化の効果は開業後も高まっている。当初は客室72室に対して30人以上のスタッフを配置していたが、144室に拡張したにもかかわらず7人に減らした。人件費を約5分の1にまで削減できた。

 エンターテインメント性も、外国人を含む旅行者に受け入れられた。「世界初のロボットホテル」としてギネス世界記録認定を受けたように、ロボットが接客するという非日常的な体験ができることは、このホテルにしかない強みだ。

 変なホテルは現在、HISグループとして佐世保市と千葉県浦安市、愛知県蒲郡市、東京都江戸川区、中央区に計5ホテルを運営。19年3月までに、東京と福岡、大阪、京都で計8ホテルを新たに開業する予定だ。

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