2月21日、福島第1原発の3号機原子炉建屋に、まるで「ロールケーキ」のような形のカバーがかかった。なぜ、あんなカタチをしているのか、どうやって設置したのか――。廃炉の現場を約7年間にわたってリポートした書籍「すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>」の筆者が、素朴な疑問に答えながら、カバーの設計・施工に凝らされた工夫の数々を解説する。

東京電力が2017年11月15日に、内堀雅雄・福島県知事に建設中のカバーの内部を公開した際の様子。事故後、建屋の上部では毎時700ミリシーベルトを超える高い放射線量を計測していたが、がれき撤去や除染などによって人が立ち入れるようになった(写真:東京電力HD)
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 巨大な600t吊りクローラークレーンが、カバーの部材を静かに吊り上げる。部材はスローモーションのように宙を舞い、たっぷり50分ほどかけて地上36mの高さにある架台に到達。すると、防護服に身を包んで待ち構えていた作業員が慌ただしく動き始めた──。

 これは、東京電力福島第1原子力発電所の3号機原子炉建屋で、鹿島・清水建設・竹中工務店・熊谷組・安藤ハザマJV(以下、鹿島JV)が建設した「燃料取り出し用カバー」の工事の一コマだ。2017年1⽉に始まった設置工事は、約1年後の18年2月に無事完了した。今後は試運転を済ませて、18年度半ばからいよいよ燃料の取り出しを始める。

大型クレーンを遠隔操作して、3号機のカバーを設置する様子(写真:東京電力HD)
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 燃料取り出し用カバーとはその名の通り、核燃料を取り出す作業のためのカバー。作業に用いる「燃料取り扱い機」や「クレーン」といった設備を載せ、上をドーム屋根で覆う。ドーム屋根には風雨を遮ったり、作業中に放射性物質が飛散するのを防いだりする役割がある。

 ここでいう「燃料」とは、燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)ではなく、事故当時に原子炉建屋の最上階のプールで保管されていた「使用済み燃料」のことだ。3号機のプールには、一部未使用の燃料も含めて566体が今も眠っている。

 使用済み燃料の取り出しは、30~40年かかるとされる福島第1原発の廃炉に向けた最初のステップ。これまでに使用済み燃料の取り出しを終えたのは、1~4号機のうち4号機だけだ。

燃料取り出し作業のイメージ(資料:東京電力HD)
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