ソニーの新型aibo(アイボ)を、ロボット研究者の岡田美智男氏(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授)はどう見たのか。人の手を借りて何らかの機能を実現する「弱いロボット」を研究・開発する岡田氏に、aiboとユーザーのインタラクション(相互作用)の可能性を中心に語ってもらった。(聞き手=内山 育海、構成:赤坂 麻実)




 1999年に発売された初代AIBOは、犬を抽象化したデザインが印象的でしたが、新型aiboはより犬に似せた外観になっています。不気味な感じはなく、とても丁寧に仕上げられているなと思いました。動きについても、これまでのAIBOよりアナログ感が増した印象です。

 ロボットの動作には大別して、あるイベントが起きたときに決まったリアクションをするイベントドリブンな動作と、環境や目の前の物体を探索する動作があります。新型aiboが室内をうろついて人に向かって鳴いたりするのも探索行為。歩き回って部屋の中のレイアウトなどを把握するのは、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を採用した新型aiboの得意とするところですね。

豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授の岡田美智男氏
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 今後、aiboに期待したいのは、こうした探索行為のさらなる進化だと思っています。そのしぐさに犬らしさをもっと加えてはどうでしょう。目の前に何か新奇なモノがあると、犬は前脚でちょこちょこと何度か触ってみて、その正体を探ろうとします。見慣れない人間が手を差し出すと、やや警戒しながら浅く触れては離れるような動きを繰り返すのも、同様の探索行為です。aiboにもそうしたしぐさが備わると、より犬らしく感じられるのではないでしょうか。

 そんな探索行為は「遊び」に通じるものでもあります。例えば、子供たちとロボットが一緒に何らかの遊びをしているとしましょう。そのとき、子供たちは確かに“ロボットと遊んでいる”かもしれないけれど、ロボットは必ずしも“子供たちと遊んで”はいません。人との関わりを通して、ロボットが対象物に新しい意味や関係性を見つけていくプロセスが、ロボットにとっての「遊び」になる。次のステップとして、ロボットが遊びの主体になれると面白いですね。

 ロボットは、こうした探索行為を出発点として遊びに行きつくことができます。目の前のボールがどういうものなのか、人との間で意味を見い出していく。aiboの場合であれば、「アイボーン」という専用の骨型おもちゃがありますが、ただそれを拾うのではなくて、アイボーンを媒介物として人と遊びを作っていくことで、人とロボットの関係はもっと深化するはずです。

アイボーンで遊ぶaibo
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