大手ITベンダー各社の新規事業の試みを「極言暴論」の木村岳史が辛口に斬る「共創十番勝負」。6社目となった今回は、野村総合研究所(NRI)に登場してもらう。NRIはSIerと呼ばれる日本の大手ITベンダーの中でも、他社にはない際立った特徴を持つ。SIと並びコンサルティングを主力事業として持つ点だ。デジタルの時代にITベンダーが生き残っていくうえで、コンサル能力は大きなアドバンテージになるはずだが、はたしてどうか。

 共創とは新しいビジネスやサービスをユーザー企業などと「共」に「創」ることを意味し、大手ITベンダー各社が新規事業に乗り出す際の共通メソッドとなっている。ユーザー企業がIT投資の比重を基幹系システムからデジタルビジネスの領域に急速に移しつつあることから、ITベンダーもそんなユーザー企業と共創することで、自身もまた人月商売のSIに代わる新しいビジネスを創出しようとしているわけだ。

 IT投資トレンドの激変で、人海戦術で基幹系システムなどを作る人月商売は急速に市場が縮小する。今のSIの活況はいわば最後の晩餐――。NRIをはじめ大手ITベンダーはそんな認識を共有する。NRIは共創などの取り組みにより、変革期をどう乗り越えようとしているのか。NRIがイチオシと自薦した共創事例と、担当役員へのインタビュー、「極言暴論」流にNRIの取り組みをバッサリ斬る「木村岳史の眼」の三部作でお届けする。

 NRIがイチオシの共創事例として自薦したのは、日本航空(JAL)と共にサービスを創り上げた「どこかにマイル」だ。実はNRIの広報から連絡を受けた時、私は「結局、古い事例に落ち着いたか」と少しシニカルに受け止めていた。サービス内容は後で説明するが、どこかにマイルは「2017年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞」を受賞するなど、大成功したサービスとしての評価が確立しているが、2016年末のサービス開始から随分時間が経っているからだ。

 「もっと直近の共創事例はないのか」と思うのが正直なところ。だがNRIに言わせると「この共創事例は従来のNRIとは似つかわしくない“軽いノリ”とも言えるやり方で成功を収め、JALに喜んでもらえただけでなく、『我々もああいうことができるんだ』ということをNRI社内に知らしめた点で大変な意義がある」(産業ITイノベーション事業本部 副本部長の立松博史執行役員)。今後の共創のひな型になる事例とのことなので、関心を持って聞いてみることにした。

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