ドライバーが不要な自動運転車が普及したとき、タクシーはどうなるのか。業界の存続をかけて動いているのが、都内タクシー大手、日の丸交通の富田和孝社長だ。自動運転ベンチャーのZMP(東京・文京)と提携。自動運転タクシーの実証実験を計画するなど積極的に動く富田社長に話を聞いた。(聞き手は庄司 容子)

自動運転タクシーがドライバーを守る

日の丸交通の富田和孝社長(写真:北山宏一)

ドライバーなしで走行できる完全自動運転車の開発が進んでいます。タクシー業界にはどんな影響がありそうでしょうか。

富田和孝社長(以下、富田):タクシー業界は自動化に対して、やはり賛否両論があります。それでも私は、自動運転タクシーがタクシードライバーを守ると思っています。

単純に考えると、雇用が失われるように思いますが。

富田:タクシー業界は今、人手不足です。ドライバーの平均年齢は年々上がっていて、都内では今58歳になっています。私どもは新卒だけでなく、外国人や女性の採用も積極的にやっていて、何とか人手を確保しようとしています。そうしないと、公共交通機関として役割が果たせないという思いがあるからです。しかし全方位で採用をかけても、人手不足の現状は変わらない。

 ドライバーがいないので、タクシーの保有台数に対する稼働率は、足元で77%とほぼ過去最低の水準です。この人手不足の状況でインバウンドの訪日客が増えると、絶対的なタクシーの供給不足が起きかねない。さらに、これは我々の慢性的な悩みなんですけれど、12月の繁忙期や、悪天候、例えば雪が降ったときにコールセンターがパンクしてしまう。

確かに、雪の日など乗りたいときにつかまらない場合があります。

富田:100のオーダーに対して10ぐらいしかお応えできないような状況になります。こういった状況で訪日客が増加すると深刻なタクシー不足が起きるでしょう。そうしてくると白タクの推進論が一気にわき起こってくることはもう間違いない。

「ウーバー」のような、ライドシェアの全面解禁ですね。

富田:はい。これは推進派がかなりおられるので、そういう事態にならないように自分たちには何ができるのかと考えています。やっぱり、タクシーとライドシェアは、共存共栄できません。タクシー業界の品質悪化を招きます。