日経BP社は2018年3月20日、今年で4回目となるイベント「データサイエンティスト・ジャパン 2018」を都内で開催した。朝一番の基調講演に登場したのは、大阪ガス 情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏。前日19日の夜にNHKで放送された番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」の新しい仕事スペシャルに、データサイエンティストの第一人者として紹介された直後の登壇となった。河本氏が冒頭で昨晩のテレビ放送について触れると、会場から拍手が沸き起こった。

大阪ガス 情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏
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 河本氏はこの日、自らが率いるデータ分析組織であるビジネスアナリシスセンターと、そこに所属する9人のメンバー間のやり取りやチームで大切にしていることに焦点を当てて話を展開した。

 演題は「大阪ガスにおけるデータ分析組織の運営と分析人材の育成」。河本氏はメンバーに「データ分析で終わらず、業務改革まで担う」ことを求める。それは入社1年目の新人でも同じ。仕事を一気通貫で任せることで責任を感じてもらい、成長を促す。

いくつもの壁を乗り越えて「業務改革を成功に導くのがデータ分析組織の役割」と河本氏は説明
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 もちろん、いきなり若手が全てをこなせるわけではない。部下をサポートするのが、リーダーである河本氏の役割だ。河本氏はメンバーに何度も「4つの問いかけ」をするという。

「その数字に責任を取れるか?」
「その数字から何が分かったか?」
「意思決定にどのように使えるか?」
「ビジネスにどれほど役立ったか?」

 なかでも大事なのが、4つめの「ビジネスにどれほど役立ったか?」。河本氏はビジネスアナリシスセンターの価値観は「解くことではなく、(ビジネスに)役立つこと」と繰り返し説く。それをチームのカルチャーとして根づかせる地道な努力を続けてきた。

 部下を褒め、モチベーションを高めることも忘れない。ただし、褒めるにも河本氏なりの順序がある。

 河本氏は、社内でビジネス課題を「見つける」、問題を「解く」、そして解いた結果を現場に「使わせる」ことで、ようやく業務改革が最後まで進むと考えている。特徴的なのは、謙虚な姿勢で現場の担当者に接しながら、使ってもらえる(つまり最後)まで持っていくことを「データサイエンティストの守備範囲」と定義していることだ。一気通貫で仕事を任せるとは、そういうことである。

 だから部下には、問題を「見つけた」ことに対して「よくこんな課題を見つけてきたな」と感心し、課題を「解く」ときは「こんなやり方を取り入れたのか」と部下の話を傾聴する。そして最後に現場に「使わせる」ことができて、ようやく褒める。これが河本氏が編み出したチームのカルチャーの醸成と、人材育成の神髄であることを明かした。

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