クラウド大手の米グーグル(Google)や米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)にも攻略が難しい市場がある。米国の軍や司法当局にAI(人工知能)技術を提供しようとする両社に対して、AI倫理にもとる行為だと社内外が猛反発しているのだ。

 米ネットメディアの「GIZMODO」は2018年6月2日(米国時間)、グーグルが米国防総省のドローン用AI開発プロジェクト「Maven」から離脱する方針であると報じた。米国防総省のMavenは、ドローンが撮影した動画に写る被写体の動きをAIで識別するシステムの開発プロジェクトだ。米メディアが2018年3月、グーグルが米国防総省のプロジェクトに参加していると報じて以来、グーグルは大きな批判にさらされていた。

 グーグルの経営陣を強く批判していたのは、社外よりもむしろ社内だった。米メディアは5月、米国防総省とのMavenに関する契約を解除するようグーグル経営陣に求める書簡に、4000人を超える同社社員が署名したと報じている。グーグルのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEO(最高経営責任者)宛ての書簡で社員らは「AIの兵器化にグーグルが加担することは、我々への信頼を失わせる」と警告していた。米メディアの報道によれば、抗議のために辞職した社員もいるのだという。

社内からの批判にさらされたグーグルのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEO(最高経営責任者)
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 予算規模が大きい米国の軍や情報機関、司法当局は、米ITベンダーにとって常に有力顧客だった。ここでいうITベンダーには、シリコンバレーの企業も含まれる。米ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)の共同創業者であるデビッド・パッカード(David Packard)氏はニクソン政権で国防副長官を務めていたし、米オラクル(Oracle)の「Oracle Database」は元々、CIA(米中央情報局)向けに開発が始まったものだった。

 グーグルのクラウド部門を率いるダイアン・グリーン(Diane Greene)氏は、既存のITベンダーでの経験が長い。そんな彼女にとっては、今やITベンダーとなったグーグルが軍などと契約するのは当たり前のことだったのだろう。

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