このままでは若手建築士が足りなくなる――。日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会(JIA)の建築設計3団体が6月5日、自民党建築設計議員連盟に「建築士資格制度の改善に関する共同提案」を提出した。構造計算書偽造事件を受けて08年に施行された改正建築士法で建築士試験の受験資格が厳格化されたが、これを緩和しようというもの。実務経験要件などを見直して間口を広げる考えで、早期の改正を目指す。

 共同提案では建築士試験の受験者が減少している現状に触れ、「受験要件や資格獲得の見通しの不透明さなどがその要因」と指摘。そのうえで、「建築士を目指す若者にとって、より早期に、より見通しを持って建築士の資格を取得することができるよう、建築士資格制度の改善を図る必要がある」と訴えた。

「建築士資格制度の改善に関する共同提案」の内容を発表する建築設計3団体の会長。左から、日本建築家協会の六鹿正治会長、日本建築士事務所協会連合会の佐野吉彦会長、日本建築士会連合会の三井所清典会長。共同提案では建築士試験見直しのほか、建築士の業務領域などについても要望。耐震診断などは建築士が担うことを明確化するよう訴えた(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

学科・製図試験の切り離しも要望

 共同提案の柱は、建築士資格受験に際して必要な実務要件の見直しだ。現行制度では、一級建築士の学科試験を受験するためには2年以上の実務経験が必要だ。実務経験として認める対象は、設計・工事監理やその関連業務に限定している。

 共同提案では、実務経験を受験資格要件とせずに、建築士名簿への登録要件に改めるよう求めた。大学などを卒業後すぐに受験できるようにして、受験機会の前倒しを図る。

共同提案に盛り込まれた実務経験の見直しのイメージ。設計3団体は、実務経験について「建築士名簿に登録し建築士としての業務が開始可能な状態となる前に一定の経験を積めばよく、受験前に実務経験を課す必要は必ずしもないと考える」と言及した。
[画像のクリックで拡大表示]

 実務経験の範囲拡大も要望した。追加する業務として、(1)設計前段階の建築の基本計画作成などの業務、(2)既存建築物の品質に係る調査・検査、維持保全に関する業務、(3)大学、工業高校などでの建築教育、(4)官公庁などにおける建築行政――の4つを挙げた。

 このほか、製図試験の受験要件の見直しも提案した。現行制度では、学科試験の合格者が製図試験を受ける場合、翌年と翌々年に限り学科試験が免除される。共同提案では、学科試験と製図試験を切り離し、製図試験を柔軟に受験できるようにすることを求めた。

 大学教育や実務の実態を踏まえ、学科試験や製図試験の内容、方法を検討することも要望。CADによる試験の導入などを提案した。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら