リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件を受けて、大林組がまとめた再発防止策が建設業界で波紋を広げている。日経アーキテクチュアは、東京地検特捜部に起訴された大林組と清水建設、鹿島、大成建設の大手建設会社4社に対し、今後のコンプライアンス(法令順守)対策について聞いた。

入札で不正疑惑がかけられた名古屋市にある「名城非常口新設工事」の現場(写真:日経アーキテクチュア)
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 大林組が5月13日に発表した再発防止策は「同業者との接触ルールの厳格化」や「監視機能の強化」が柱だ。2006年に自社で制定した「独占禁止法遵守プログラム」に再発防止策を盛り込む。18年6月1日から開始する。

 同業者との接触ルールの厳格化では、同業者が同席する懇親会は原則禁止とする。日本建設業連合会などの業界団体や技術団体および、発注者が公式行事として主催する懇親会の参加には事前の承認手続きが必要となる。これまでは主に営業部門を対象に「同業者との会合等報告制度」を運用していた。今後は、営業部門に限らず、全ての役員および従業員を報告対象とする。建築の設計部門や施工部門の従業員も該当する。

 監視機能の強化では、従業員の送受信メールを監視する。同業者が宛先および発信元となっているメールは内部監査部門が内容をチェックする。人工知能(AI)の活用も検討している。

 今回、新たに盛り込まれた同業者との接触ルールの厳格化の対策は、従業員のプライベートにまで規制を設けているとも解釈できるが、大林組CSR室広報部の担当者は「あくまでも業務に関するものであり、プライベートに及ぶものではない」とコメントした。

大林組が発表した再発防止策のうち、「同業者との接触ルールの厳格化」の具体的な内容。発注者主催の懇親会への出席にも事前承認が必要だ(資料:大林組の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 しかし、会社と従業員の認識にズレが生じているようだ。ある大林組従業員は今回の対策について、「建設工事の受発注に関わりのない部門の従業員からすると、当事者意識が湧かない人も多くいるのではないか」「同業者の友人はいるが、会社の考えなのでこれからは一緒に飲みに行けなくなる」と打ち明ける。

 会社側は従業員へどのように説明をしたのか。日経アーキテクチュアの取材に対し、大林組CSR室広報部は「発表済みの内容以外、特に回答することはない」とした。

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