新香川県立体育館の設計を巡り、有名建築家たちが火花を散らした。高松市内にある県庁舎で5月22日、香川県が「新香川県立体育館基本・実施設計業務公募型プロポーザル」の公開プレゼンテーションを開いた。一般の傍聴者約130人が見守るなか、プレゼンテーションをした最終候補者は5者。SANAAやSUEP.、日建設計・タカネ設計共同企業体(JV)、坂茂建築設計・松田平田設計のJV、藤本壮介建築設計事務所だ。最終結果は6月上旬に発表される予定だが、白熱した会場の様子と、5者の提案内容を先にリポートする。

香川県庁舎(高松市)で行われた「新香川県立体育館基本・実施設計業務公募型プロポーザル」の公開プレゼンテーション。一般の傍聴者約130人が見守るなか、SANAAやSUEP.など5者の提案が激突した。写真は評価委員の質問に答える、ともにSANAA代表の西沢立衛氏(左)と妹島和世氏(右)(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 旧香川県立体育館は、建築家・丹下健三が設計し、1964年に竣工した屋内競技場だ。老朽化に伴い、2014年9月に閉館した。その後、県には、国際的な競技大会やイベントなどを開催できるような総合体育館の建設を待ち望む声が数多く寄せられていた。

 県は17年12月に、旧体育館とは別の場所に新体育館を建設する「新香川県立体育館整備基本計画」を発表した。対象地は瀬戸内海に面し、県と高松市、民間企業などが一体となって開発を進めてきたエリア「サンポート高松」の北側街区に位置する。敷地面積は約3万6400m2。高松港や高松駅にも近接する利便性の高い立地だ。

左に見えるのが、高松駅前広場から望む「サンポート高松」のシンボルタワー。サンポート高松の北側街区が新香川県立体育館の建設予定地だ(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
新体育館建設予定地の周辺状況。現在は暫定的に、軽スポーツやレクリエーションなどを楽しめる広場として利用されている(資料:香川県「新香川県立体育館整備基本計画」)
[画像のクリックで拡大表示]

 新体育館の規模は、延べ面積約3万m2。工事費は170億円〜190億円を予定している。23年度の完成を目指す。県は設計の条件として、スポーツ競技大会やコンサートを開催できるアリーナに加え、現状のサンポート高松が持っている県民の交流・憩いの場としての機能などを盛り込むことを求めた。履行期間は契約締結日から21年1月19日までで、契約限度額は2億9000万円だ。

 今回のプロポーザルは、京都工芸繊維大学の松隈洋教授が評価委員長を務めている。そのほか都市デザインの専門家である北山恒・法政大学教授(横浜国立大学名誉教授)や、構造の専門家である斎藤公男・日本大学名誉教授などが評価委員に加わり、合計9人が名を連ねる。

 松隈評価委員長は5者のプレゼンを受けて、新体育館の事業と設計プロポーザルについて次のように語った。「本事業は香川の未来を決定付ける大きなプロジェクトとなる。機能性やシンボル性だけでなく、日常の風景のなかで、どうやって人々に親しまれる場所をつくれるか。さらに、それは実現可能かどうか、が評価のポイントとなる。最終選考の審査は苦労しそうだ」

評価委員長を務める京都工芸繊維大学の松隈洋教授。「発表を行った5者は、それぞれの方向に極端によくできた案を持ち寄っているので、審査としては苦労する」と語った(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 評価委員長がどれも捨てがたいと感じたほど、最終選考者5者による提案は、それぞれ強い特色を持つ内容だった。次のページから、各者の提案内容をお伝えする。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら