大地震後、建物の下はこうなっているかも――。2016年4月の熊本地震で改めて注目された建物の隠れた被害を探る実大実験が、茨城県つくば市にある建築研究所で実施された。研究グループが公開した試験体は、鉄筋コンクリート(RC)造の基礎が大きくひび割れて損傷、杭との接合部が塑性化して、杭が斜めになってしまっている。これでは建物荷重を支え続けるのは難しいだろう。

 実験を実施したのは建築研究所の研究グループだ。RC造の下部構造を模した実大試験体を用い、地震による被災後の杭基礎の損傷を再現。杭頭に用いる配筋の仕様向上が、基礎の先行破壊防止につながる可能性が明らかになった。過去、建物本体(上部構造)の実大破壊実験は数多く実施されてきたが、下部構造の限界性能を探る実大実験はこれが初めてだ。

建築研究所が公開した実験後の試験体。杭付近のコンクリートが割れて基礎が損傷している。手前側が従来より杭頭定着筋の仕様を高めた試験体2。奥側が一般的な仕様の試験体1で、杭に残留変形が残っていた(写真:池谷 和浩)
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載荷装置による実験中の様子(写真:建築研究所)
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 今回の実験に用いた試験体は杭とRC造基礎、柱脚部から成る。杭は直径40cmの鋼管コンクリート(SC)杭で、杭頭に杭頭定着筋を溶接し、さらに基礎の杭頭接合部(パイルキャップ)へ25cm埋め込んだ。実験では上部構造の柱に圧縮力が掛かった状態、または引き抜き力が掛かった状態ごとに、基礎梁を押したり引いたりし、壊れるまで徐々に変形させていった。

 試験体は2体構築し、杭頭定着筋の仕様のみを変更した。試験体1は日本建築学会の基礎構造設計指針に基づき、杭頭定着筋として異形鉄筋のD29(SD345)を8本溶接した。一方の試験体2ではD38(SD490)を14本溶接した。試験体2は一般的な仕様に比べて太い鉄筋に変更、本数も約1.8倍に増やしたことになる。

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